新型コロナウイルスにより、多くの人がお金について真剣に考えたはずだ。先行きが見えないなかで、今後どうお金と付き合い、増やしていけばいいのか。この連載では、お金のトレーニングスタジオ「ABCash」を運営する児玉隆洋氏が、コロナ後のお金と資産運用についてレクチャー。お金とは何か、投資とは何かを考える。アフターコロナのお金論14回。
お金の健康も継続力で決まる
もうすぐ2021年がスタートします。新年は新しいことを始めるいいタイミングですので、フィットネスジムに通ってダイエットしよう、身体のトレーニングをしようと思っている方も多いかもしれません。ただ最初は頑張ってトレーニングを始めたものの、少しずつ足が遠のいていき、数ヶ月したらトレーニングを継続できなくなり結局ジムも退会してしまった、、、という経験はないでしょうか。私も今まで、意気込んでジムに通い始めても結局続かなくなったり、毎日ランニングしようと決意しても数週間すると面倒になってやめてしまったり、そういう継続できなかった経験が何度もあります。
知識だけあって行動しないと何も変わりませんが、新しいことを始めて行動を起こしても継続できないと一過性の変化だけになってしまいます。より良い状態に自分を変えて、それをサステナブルに維持し続けるということは容易なことではありません。
「何かを始めることは易しいが、それを継続することは難しい。成功させることはなお難しい」
これは津田塾大学の前身となる女子英学塾を創設し、日本における女子教育の先駆者と言われている津田梅子の言葉です。「質の高い教育をみんなに」「ジェンダー平等を実現しよう」とSDGsにも掲げられていますが、そういうことに明治時代から取り組んでいた女性です。
それではお金のトレーニング。津田梅子は、2024年から日本の紙幣の肖像になることが決定しました。それは何円紙幣でしょうか?
答えは、5000円紙幣。現在は樋口一葉、過去には聖徳太子、新渡戸稲造も肖像として描かれていました。
津田梅子の言葉にもある継続の難しさですが、継続できるようになる工夫として、「習慣化」があります。新しいことをスタートしようと思ったら、今ある習慣に新しい行動を少しづつ加えていく手法です。例えば身体のトレーニングであれば、毎朝歯を磨くときに体重計にのる、毎日会社から帰宅する時にひとつ手前の駅で降りて自宅までランニングする、などです。今ある習慣に少しづつ加えて、新しい行動も習慣になってきたら降りる駅をもう少し手前にしてランニング距離を伸ばし、徐々にハードルをあげていくのです。ランニングする習慣がなかった人が、いきなり今日から毎日1時間ランニングする! とスタートしても、なかなか継続は難しいものです。
継続するための習慣化については、お金についても同じことが言えます。
株式投資を始めた場合、経験のない人がそのスキルを上げるには、例えば、毎朝歯を磨きながら新聞を読んで経済情報をインプットし、通勤中の電車で朝の経済ニュースを15分間聞いて、ランチタイムに5銘柄の株価だけアプリで確認するなど、そういった行動を今の習慣に加えていくことで、継続的に株式投資スキルをあげていくことができます。
貯金についても成功するには継続力です。投資をスタートしたいから、コロナが落ち着いたら海外旅行にまた行きたいから、車が欲しいから、家を買いたいから、そういうことの元手としてまずは貯金をしよう! と思ったことのある方も多いと思います。貯金も習慣にすることが大事です。例えば、先取り貯金という習慣の自動化の方法もあります。会社から給与が振り込まれた翌日に、自分で決めた額を自動で貯金用の口座に先に移してしまうシステムです。こういうシステムを活用することも、継続するための有効な一手です。
投資も貯金もどれだけ習慣に入れられるかどうか。習慣に入れて継続することで、自分のフィナンシャルスキルをあげ続けることができたり、目指した結果を得られやすくなるのです。
それでは最後にお金のトレーニング。
老後2000万円。超長寿社会になることをふまえて、長期・積立・分散投資による資産形成の検討を行うことも重要といわれました。日本中で話題になったこのニュース、話題になったのはいつ頃でしょうか?
答えは2019年6月。今から約1年半前のことです。このニュースで将来に向けた資産形成を真剣に考え始めた方も多かったと思いますが、実際にスタートして今も資産形成を継続できている人は、継続スキルが非常に高い方です。
ダイエットや身体のトレーニングと同じく、お金についても継続は力なりなのです。
Takahiro Kodama
1983年宮崎県生まれ。大学卒業後、サイバーエージェントに入社。Amebaブログ事業部長、AbemaTV広告開発局長を歴任。2018年、海外に比べて遅れている日本の金融教育の必要性を強く感じ、株式会社ABCashTechnologiesを設立。代表取締役社長に就任。’19年、すごいベンチャー100受賞、スタートアップピッチファイナル金賞。趣味はサーフィン。