35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者。「その英語力でよく来たね(笑)」と日本人含め各国人からお叱りを受けつつ、覚えたフレーズの数々。下手でもいいじゃない、やろうと決めたんだもの。「人のEnglishを笑うな」第48回!
洋書を読み始めるのは腰が重いけれど、毎日ぼーっと眺めているネットニュースやSNSを、1日10分英語表示にするだけでも、気がつくことがたくさんあります。最近は、SNS上などでよく使われる「炎上」「バズる」という表現が、英語にもあることを知りました。
come under fire=炎上する
先日、「某国の首相夫人が、3月に旅行に行っていた」というネットニュースで、こんな風に使われていました。
His wife came under fire on social media(彼の妻は、ソーシャルメディアで批判された)
「批判される」という意味ですが、日本語でいう「炎上する」に限りなく近いと思われます。炎に包まれるイメージも同じです。
go viral=バズる
素人の動画が一瞬で拡散された様子がこのように紹介されていました。
His video has now gone viral with millions of views(彼の動画は今や数百万の視聴者に広がった)
“go viral”は「ネットの世界で、一瞬にして広がる」ことを表現する言葉で、まさに「バズる」の意味です。 viralは「ウイルス性の」という意味の形容詞なので、「一瞬にしてウイルスのように広がる」というイメージでしょうか。不吉ですが、覚えやすいです。
ロックダウン明けは、離婚シーズンの始まり
ロックダウンが始まり1ヵ月が過ぎました。日本でも「コロナ離婚」が騒がれていますが、イギリスの弁護士たちも「毎年、長い休み明けに離婚の相談が多い。ロックダウン後に大きな離婚の波が来るだろう」と予想していると、いくつかの新聞が伝えています。
そしてこの長い隔離期間は「付き合いたてのカップル」も注意しなければいけない、とゴシップ紙の「THE SUN」が報じています。この新聞は、日本でいうなら「東京スポーツ」のような存在、ちょっとお下品なスラングと内容に、一瞬ロックダウンの重苦しさを忘れられたのでご紹介します。
shack up =「しけこむ」 恋人たちがロックダウン中に注意しなければいけないこと
付き合い始めたばかりの恋人たちがデートできるような場所は今、世界中どこにもありません。ゆえにすぐに同棲を始めるカップルが多く、セレブリティたちもそれは同じです。
イギリス人女優のケイト・ベッキンセイルが24歳年下のミュージシャン、グッディ・グレースと早速同棲を始めたことがこう記事の中で表現されていました。
Kate Beckinsale shacked up with her rocker boyfriend Goody Grace despite only meeting in January.(ケイト・ベッキンセイルが、1月に出会ったばかりにもかかわらず、ロッカーの彼氏グッディ・グレースと同棲)
“shack up“とはスラングで、「同じ家に、セックスパートナーとして、結婚せずに住む」という意味だそうです。日本語でいうなら「しけこむ」でしょうか。
この二人の関係を導入に、ロックダウン中に「しけこむ」付き合いたての恋人たちが注意しなければいけないことを以下にこのゴシップ記事では挙げています。
脱毛できないなら、『ブギーナイツ』を見て、ありのままを受け入れる
「通常、付き合いたての頃は、3週間に1度は脱毛サロンに行って、つるつるに保っているもの。しかし、脱毛サロンに行けない今、剃刀ばかり使っていると、鼠径部は引き抜かれたチキンのような肌になってしまいます。だから『ブギーナイツ』(1997年公開のポルノ業界を描いたポール・トーマス・アンダーソン監督の名作)を見て、『ありのまま』を彼に吹き込んでいます」
ここにあった、興味深い一文はこちらです。
But with just your trusty Gillette Venus razor to rely on, your groin area looks like a plucked chicken thigh.(信頼しているGillette Venusの剃刀にばかり頼って、あなたの鼠径部は引き抜かれたチキンの足のよう)
ポイントとなる単語“Gillette Venus”と“groin”の意味がわからなかったので、最初はピンときませんでしたが、“Gillette Venus”は剃刀のメーカー、“groin”とは「鼠径部」ということだそうです。まぁこういう記事を読まない限り触れることのない単語ですが。
loo roll=「トイレットペーパー」 トイレの音消しは、貴重なトイレットペーパーを減らさずに行え!
「あなたがセレブで、いくつもトイレがあるような部屋に住んでいない限り、トイレ洗面問題について恋人同士で話し合うには、通常付き合って数ヵ月か、場合によっては数年経ってからでしょう。今、トイレの音消しに、貴重なトイレットペーパーを使えないなら、バスルームのシャワーやスチームを使って、音と匂いを消しましょう」
確かに付き合いたてでいきなり同棲したら、トイレの音問題は大きいでしょう。ここで興味深いフレーズはこちらです。
If you can’t bring yourself to use some of that treasured loo roll as a silencer(もし、大切なトイレットペーパーを音消しとして使えないのであれば)
イギリス英語で「トイレ」は“loo”(ルー)なので、トイレットペーパーのことをこのように“loo roll”ということもあります(もちろん“Toilet paper”も通じます)。私は、恥ずかしながら「トイレットペーパーを敷いたら、音消しになる」という方法をこの記事をきっかけに初めて知りました(大抵ジャージャー水を流すか、「音姫」利用の2択でした)。
dawn chorus「鳥のさえずり」 聞こえ次第起床、速攻で歯を磨け
「もし鳥のさえずりをあまり聞くことがないなら、聞くべきです。鳥のさえずりを合図に起床して、すぐに歯を磨き、朝のひどい口臭を悟られないようにするのです」
ここで使われていたのはこんな表現です。
If you are not familiar with the dawn chorus, you should be. (もし鳥のさえずりをあまり聞くことがないなら、聞くべきです)
“dawn chorus”は直訳すると「夜明けのコーラス」ですが、すなわち「朝の鳥のさえずり」ということだそうです。最後にやっと美しい英語を学べました。
MOMOKO YASUI
ロンドン在住編集・ライター。1983年生まれ。男性ライフスタイル誌、美術誌、映画誌で計13年の編集職を経て2018年渡英。英語のプレスリリースを読むのに膨大な時間がかかって現在、仕事が非効率。