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2014.07.19

食のカリスマ 西山知義 五感を心地よくさせるゆるリッチな海の家

ただ大きいだけの家、ただ豪華なだけではない。今回ご覧にいれるのは、家主のこれまでの人生、つまり生き様が「家」という形に結晶したものばかり。だから、まるで家が意思を持ち、家主と一心同体になろうとしている。さて、あなたにはどんな家が建てられるだろうか?

nishiyama

人生最良の買い物は海を眺めながら自分を見つめ直す場所

水を湛えたプールの向こうには海とクルーザー。室内には上質な家具とともに、遊び心を感じる照明やアンティークの品が並ぶ。

「人生で最良の買い物」

落ちる夕日に染まる海を見ながらそう語るのは、この家のオーナー、ダイニングイノベーション代表取締役社長の西山知義氏だ。これまでも自宅や別荘などを建ててきたが、この家に対する思い入れは特別だという。

「誰の意見も聞かず、とにかくすべて自分の好きにさせてもらいました」

自身のクルーザーを係留するマリーナに隣接するこの場所を手に入れるまで3~4年。やっと見つけた海の前の土地で、思いどおりの家にしたいと、リビングはこう、プールはここに作って……と自ら図を描き、それを設計図へと落としてもらった。

キーワードは「エイジング&カリフォルニア」。大好きな海、そして事業で初めて海外進出した地のイメージをベースに。

「まず僕自身が普段着と裸足でいられるような場所であること。そして訪れる人が思わず長居したくなるような場所にしたいと思いました」

アンティーク煉瓦に白いペイントを施した壁や、天然木を使用したフローリングなど、歴史や人の手を感じる素材を使用。完成からまだ1年ながら、ずっと住んでいるような心地よい寛(くつろ)ぎを醸し出す。また、重視したのは照明と音楽。家の夜の顔を想定し、部屋ごとにさまざまな照明を選択。さらに天井には360度音が降るスピーカーを設置するなど、店舗経営を生業とする西山氏ならではの視点は、明らかに一般の住宅とは異なる空気感を作りだしている。

さらにアートもこの家の大きなポイント。アメリカンポップアートが好きという西山氏だが、青山のレストラン「TWO ROOMS」の店内に飾られた、アーティスト小澤雅志氏の絵にひと目ぼれ。自ら本人に電話し、この家のためにオリジナルを3点描いてもらった。家具や照明はもちろん、アンティークのオブジェや階段に飾られたモノクロ写真、棚にさり気なく置かれた洋書にいたるまで、この家にあるものはすべて西山氏が自分でセレクト。時にはネットオークションで競り落とし、自分の好きなものだけをとことん集めた。

単なる贅沢と思われがちの別荘だが、経営者こそ持つ意義があると西山氏は言う。

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リビングからキッチンを望む。ダイニングテーブルの右が一番お気に入りの席。パーティーでたくさんの氷が必要になる別荘では、業務用の冷凍庫は必須。

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音楽もこの家の大切な要素のひとつで、リビングにはDJブースも設置。壁の絵は小澤雅志氏に「夏が似合う女性」をオーダーして描いてもらったもの。

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リビングの窓を全開するとこの開放感。西山氏がここに家を建てた決め手が「海の前」というロケーションだ。そのメリットを最大限に生かす造りに。

「日々決断が求められる仕事は、やっぱり近視眼になりがちなんです。自分も然り。でも経営者には、一歩引いて客観的な視点を持つことが大切。日常と離れて、仕事と自分を見つめ直すことのできる場所が必要です」

もちろん多忙な経営者には、その時間をいかに作れるかも重要。だから、計画を立てる旅行ではなく、時間が空いたらすぐに行ける場所がベスト。都内から1時間で来れるこの別荘は、まさに理想の場所だという。

「自分にとって一番大切なのは時間。今の自分は過去の時間をどう使ってきたかの結果でしかない。だから、ここで自分の好きなものに囲まれて過ごす時間はかけがえのないものなんです」

たくさんの友人を招いてホームパーティーをすることも多いが、日帰り可能なため、気軽に招待の声をかけられるのも、この家のゆるいスタイルに合っている。

パーティーでは飛びこむ人が続出(!)のプールや、潮風が心地よいアウトドアダイニング、海に面したガラス張りのバスルームに富士山も望めるジャグジーなど、寛げる場所がたくさんあるこの家だが、西山氏の一番のお気に入りは、海を正面に望むダイニングテーブル奥。

「好きな音楽をかけて、お酒を飲みながらのんびり海を眺める。すべてを忘れる最高の時間です」

西山氏といえば、『牛角』の創業者として手腕を発揮、あっという間に飲食業界を席巻したその活躍は誰もが知るとおり。

「以前、父に『人生は借り物だ』と言われたことがあるんです。人間は生まれた時も死ぬ時も何も持たない。だったら今、自分の思っていることを思いっきりチャレンジすべきなんだと」

その言葉どおり、現在は飲食業の海外展開を精力的に推し進めている。

「飲食業界は、正直大変な仕事です。他業界と比べれば、全然効率的な仕事ではないので、苦労話ならいくらでもある(笑)。でも、僕は根っからこの仕事が大好きなんです。自分が手がけたお店でお客様が喜ぶ姿をこの目で見ることができる、そんな幸せなことはないと思います」

ロスで1号店を出した時「道の反対側から完成した店を見て涙した」という『牛角』も、すでにアメリカで30店舗に拡大。無借金経営で2018年のNASDAQ上場を目指す。

「はたから見るとすごい、大変だと言われるけれど、まだまだ夢の途中。だからまったく苦にならないんです」

その原動力こそ、西山氏の宝物がすべて詰まった、この海の家での大切な時間なのだ。

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左:冬には富士山も望めるというオープンなジャグジー。右:そのジャグジーに併設するガラス張りの絶景バスルーム。まるで海に溶けこむような仕様。

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上:マスターベッドルームにもお気に入りの小澤雅志氏の絵が飾られる。左:玄関横には靴を履きやすいようにと、2カ月待って入手したフィアット500のフロント部分を使ったポップなソファを設置。右:トイレにも西山氏のこだわりが。NYの地下鉄で使われているタイルを使用。大好きなアンディ・ウォーホルのアートを飾って。

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65フィートのラグジュアリーなクルーザー「プリンセス65」を所有。キッチンや寝室を完備する。

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アウトドアキッチンも設置。テーブル中央は氷を敷き詰めてお酒を冷やせるようになっている。階上部分が絶景のバスルーム。

Tomoyoshi Nishiyama
1966年東京都生まれ。レインズインターナショナル代表取締役社長として『牛角』などの外食チェーンを展開。2012年退任後、ダイニングイノベーションを設立。「やきとり家すみれ」などで新風を起こすと同時に、日本の外食の海外展開を図る。

*本記事の内容は14年7月取材のものに基づきます。価格、商品の有無などは時期により異なりますので予めご了承下さい。
14年4月以降の記事では原則、税抜き価格を掲載しています。(14年3月以前は原則、税込み価格)

TEXT=牛丸由紀子

PHOTOGRAPH=高島 慶

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