韓国ではボディビル大会や"美ボディコンテスト"で栄冠を手にした美女が、フィットネス誌やテレビなど、さまざまな分野で活躍していたりする。そんな健康美をもつ“マッスル美女”たちをシリーズで紹介する。【マッスル美女63】
フィットネス界の“美ボディ・ママ”
韓国最高峰のフィットネス&ボディビル大会と言えば、『マッスルマニア』だが、そのなかでも特に華やかなのはコマーシャル・モデル部門だ。
コマーシャル・モデル部門は『マッスルマニア』の数ある部門のなかでも「美容とトレンドの産室」とされており、流行を発信する表現力や洗練された雰囲気などが特に重要視される。美しいボディラインだけでなく、本人のスター性もかなり大事になってくるということだ。
現役モデルやミスコン出身者など、いわゆる舞台慣れしている出場者が多いのもこの部門で、上位入賞者はいずれも美ボディに尽きない独特な魅力を放っている。
今回の主人公キム・ソンヨンもまた、「コマーシャル・モデル部門グランプリ」の名に恥じない、誰もが納得するスター性を持っていた。174cmという長身からなる美ボディと整った顔立ちは、さまざまな韓国メディアが「スーパーモデル並みだ」と絶賛の声を惜しまなかったほどだ。
と紹介すると、ありがちなサクセスストーリーの始まりかと思われるかもしれないが、早合点してはならない。
というのもキム・ソンヨンは、フィットネス大会はおろか、モデルの経験すらまったくなかったごく普通の“2児の母”なのだ。
グランプリの発表時には嬉しさのあまり涙を流したという彼女。今ではフィットネス界“美ボディ・ママ”として知られるほどの有名人だが、これほどの反響は予想外だったという。
過去に韓国メディアと交わしたインタビューで、キム・ソンヨンは言っている。
「そもそも、ウェイトトレーニングを始めようと思ったのは妊娠・出産によって体質が変わったからでした。体力は落ちて、体調を崩すことも多くなって、仕事にも支障が出るようになったんです」
現在33歳のキム・ソンヨンは大学時に美容の分野を専門的に学び、その経験を活かしてトータルビューティーショップを運営している。美意識の高さが感じられる職業だが、ボディメイキングのきっかけが体質改善のためというのは意外だ。
しかし、この小さな思い付きこそが、彼女にとって大きな転機となる。
「実は、学生時代からモデルをやってみないかと言われることはありました。とても興味はあったけど、やりたいという気持ちよりも恥ずかしさが勝ってしまって…結局やらずじまいに。ところが、ウェイトトレーニングを始めてから身体のコンディションが良くなっただけでなく、どんどん整っていくボディラインを見て自信が沸いてきたんです。
今ではモデルの仕事の話が来ると2つ返事でOKするほど。フィットネスは、私に人生の転機をもたらしてくれたんです」
仕事では本業のトータルビューティーショップ、フィットネスモデル、そしてプライベートではウェイトトレーニングに家事・育児と、身体がいくつあっても足りないような生活をしているようだが、家族とはどのように過ごしているのだろうか。キム・ソンヨンは言っている。
「忙しいことを言い訳にしたくないので、なるべく自分でできることはやろうと思っています。普段トレーニングをやっているジムは子供も連れて行ける環境なので、子供たちに見守られながらトレーニングメニューをこなしたり…夫婦仲は良好ですよ(笑)。5歳の長男と3歳の次男という兄弟構成なのですが、夫はよく子供たちを連れて“男の子だけの時間”を楽しんでいます。
私のボディメイキングに対しても“身体を動かすようになってから目に見えて健康的になって、美しくなった”と言ってくれて、応援してくれる家族の存在は一番のパワーの源です」
そんなキム・ソンヨンは最近、韓国で行われたミスコンテスト『Mrs. First Beauty World』で3位入賞も果たしている。若かりし頃の自信のなさを取り戻すかのようにその美貌をアピールしているようだが、彼女の華やかな活躍には大きな意味があった。キム・ソンヨンの想いはこうだ。
「まだまだ世の中の多くの“ミセス”が、子供を産むと女性としての人生を諦めざるを得ないのが現状です。実際に私にもそういう時期はあったけれど、フィットネスに出合ってから予想もしていなかった華やかな道が開けました。はじめは健康を取り戻すためだったけれど、自信をつけたことで性格も明るくなって、子供たちにとっても誇らしい母親になれたと思えたんです。いつまでも素敵な女性でいることは、素敵な母親になることにも繋がるかもしれない。私の姿に勇気を貰ったと言ってくれる女性が増えれば、とても嬉しいです」
一人の女性として、そして母親として華麗な人生の第二幕をスタートさせたキム・ソンヨン。彼女の前向きな姿勢は、多くの人々にパワーを与えているはずだ。