今回はプッシュスライスについて。連載【吉田洋一郎の最新ゴルフレッスン】。
大きなバックスイングは振り遅れの原因になる
ボールが右に出て、そのままどんどん右に曲がっていく「プッシュスライス」に悩んでいる人は多い。
ボールが左に飛び出て右に戻ってくるカットスライスは、飛距離が出ない分ボールがコース内に残りやすいが、プッシュスライスは右に勢いよく飛ぶため大きなトラブルになる可能性がある。
プッシュスライスの主な原因はクラブの振り遅れだ。クラブが振り遅れた状態になるのは、体と腕のシンクロが崩れることが原因となる場合が多い。
スイング中はアドレスでできた両肘と胸の空間が変わらず、体と腕がシンクロしている状態が理想なのだが、体と腕のシンクロが崩れると腕や体に対してクラブが遅れてしまう。そのため、ダウンスイングでシャフトが寝て、クラブフェースが開いてインパクトすることになるため、ボールが右に飛びだしてしまうのだ。
振り遅れの原因は様々だが、アベレージゴルファーはオーバースイングによって振り遅れるケースが多い。
オーバースイングになると体と腕のシンクロが崩れた状態になりやすく、振り遅れによるプッシュスライスが出やすくなる。そのようなトップだと、ダウンスイングで腕を振り戻さなくてはいけない「手打ちスイング」となり方向性が不安定になるのだ。
フォロースルーの意識を8割に
オーバースイングになっている人は、バックスイングの意識が強すぎるケースが多い。大きくクラブを振り上げて力強いボールを打とうとしたり、丁寧にゆっくりとバックスイングを上げようとする人はオーバースイングになりやすい。
そのような意識を持っている人は、別の競技を参考にしてみるといいだろう。
野球のボールを投げる時に、ゴルフと同じようにバックスイングを意識しているだろうか。ターゲットに正確にボールを投げるには、バックスイングよりもリリースのタイミングやフォロースルーを意識するだろう。
ゴルフも同様で、バックスイングの意識は少なくして、フォロースルーやフィニッシュに意識を向けてほしい。
フォロースルーを意識することで、自然とバックスイングがコンパクトになり、オーバースイングによる振り遅れが解消されるようになる。
だが、なかにはインパクトまでしかスイング軌道をイメージしたことがない人もいる。そのような人は、バックスイングを2割、フォロースルーを8割の配分で意識するようにすることで適切なバランスになるだろう。
今回はフォロースルーを意識して、コンパクトなバックスイングを身に付けるためのドリルを紹介する。
いつも通りにアドレスをしたら、クラブをフォローサイドの目標方向に振り上げ、右腕が地面と平行になるくらいの高さのポジションで止める。そこからバックスイングを開始し、普段通りに素振りを行う。フォローサイドからスイングをスタートすることで、クラブ軌道やポジションを確認できるため、フォロースルーの意識を高めることが可能だ。
スイングをスタートしたら、バックスイングの意識はほとんど持たず、高くクラブを振り上げようと考える必要はない。自分でクラブを上げるのではなく、クラブの重みや勢いを使って自然とクラブが上がるイメージを持ってほしい。
切り返し以降は、スイングをスタートしたポジションに戻すことを意識しながらスイングをする。それによって、フォロースルーの軌道に意識を向けることができ、トップが自然と小さくなることでオーバースイングによる振り遅れが解消し、プッシュスライスも出なくなる。
ぜひ、バックスイングとフォロースルーに対する意識の配分を変えて、プッシュスライスを克服してほしい。
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■連載【吉田洋一郎の最新ゴルフレッスン】とは
世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子によるゴルフレッスン。多くのアマチュアゴルファーを指導する吉田洋一郎コーチが、スコアも所作も洗練させるための技術と知識を伝授する。