今回は、腰の使い方について。連載【吉田洋一郎の最新ゴルフレッスン】とは……
【飛距離と方向性が向上する左腰の正しい動かし方とは】
バックスイングで体を回転させるとき、あなたはどのような動きを意識しているだろうか。肩を回すことばかり考えて下半身を意識していなかったり、腰をとにかく回そうと考えていたりすると、左腰が前(ボール方向)に出てしまうことがある。この動きによって、必要以上に左ひざが右脚に寄ったり、左肩が下がったトップになることがある。
バックスイングで左腰が前に出ると、ダウンスイングの初期に左腰を適切な位置に戻す動作が必要になる。その結果、切り返しで左足を踏み込むことができなくなり、上半身主導の切り返しになって飛距離をロスしたり、スイング軌道が狂ってしまうことがある。ダウンスイングで左腰を戻すことができたとしても、左腰を戻す動作によって切り返しのタイミングが遅れ、左サイドが目標方向に流れたり、体の軸が傾くなどのエラー動作が出てしまう。このようなエラー動作によって、振り遅れによるプッシュアウトやダグフックなどのミスが出やすくなる。
左腰が前に出る動きがスイングに大きな影響が出ると指摘するのが、イギリスのバーミンガム大学でスポーツ科学などを研究しているマーク・ブル博士だ。ブル博士は人体の動きのメカニズムなどを研究し、ゴルフスイングの分析に取り組んでいる。ジャスティン・ローズやフランチェスコ・モリナリなどのPGAツアー選手も指導するなど、欧米のゴルフティーチング界で注目を集めているゴルフスイング研究者のひとりだ。
【左腰と右腰は別々に意識する】
ブル博士によると、左腰が前(ボール方向)に出るのは、右腰の動きが原因になることが多いという。バックスイングで腰を回そうとして、右腰を後ろに引くように水平回転させることで左腰が前に出やすくなるというのだ。ブル博士は右腰を後ろに引くのではなく、斜め上に切り上げるように腰を回転させることを推奨している。右股関節を切り上げるように動かすことで、左腰は前に出にくくなり、左ひざも右脚に寄りにくくなるという。
これまでバックスイングで腰を水平に回していた人は、左右の腰を一体化させて回すイメージを持っている傾向がある。今後は左右の腰を別々に「分離」してイメージしてみてほしい。バックスイングで右腰を切り上げるように回転させ、左腰はあまり動かさないようにイメージするのだ。
バックスイングで左右の腰の動きを分離して意識することで、バックスイングで左腰を適切な位置にキープすることができる。トップで左腰の位置が適切になれば、ダウンスイングで左腰を戻す動きは必要なくなり、スムーズに左足を踏み込みながら腰を沈み込ませる動作を行うことができる。
この動きをマスターするための練習として、左腰の位置を変えずに右腰を斜め上に引き上げるシャドースイングを行ってみてほしい。まず、右腰につられて左サイドが前に出ないように左腰を左手でおさえる。その状態をキープしたまま、右腰を切り上げながら体を回転させてみよう。最初は窮屈に感じてしまうかもしれないが、今まで腰が必要以上に回りすぎていたため、そのように感じるだけだ。繰り返しドリルを行うことで、左右の腰がバラバラに動いているような感覚がわかってくるだろう。
ダウンスイングの左サイドの動きは飛距離と方向性に大きな影響がある。左腰の動きをマスターして、再現性の高いスイングを目指してほしい。
連載【吉田洋一郎の最新ゴルフレッスン】とは……
世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子によるゴルフレッスン。多くのアマチュアゴルファーを指導する吉田洋一郎コーチが、スコアも所作も洗練させるための技術と知識を伝授する。