世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子・吉田洋一郎。顧客の多くが国内外のエグゼクティブ、有名企業の経営者という彼による、スコアも所作も洗練させるための“技術”と“知識”を伝授する最新ゴルフレッスンコラムをまとめて振り返る。まだまだ厳しい寒さが続くが、ゴルフシーズン到来に向け、コソ練を積み重ねてスコアアップを目指したい。
バンカーショットは”上から叩く”は違う! 上手くなる2つのポイント
バンカー恐怖症の人は多い。何度打ってもダフってバンカーから脱出できず、次はボールをクリーンヒットしてしまいホームラン。そんな人はバンカーに入っただけで緊張してしまい、体が硬くなって更に失敗を繰り返すという悪循環に陥っているのではないだろうか。バンカーから上手く脱出するには、技術9割、メンタル1割。技術をしっかりマスターすれば、苦手意識も払拭できるはずだ。
バンカーショットでは、砂を爆発させること(エクスプロージョン)が大切だとよく言われる。そして、砂を爆発させるために、クラブを上から叩きつけると教わることが多いのだが、クラブを上から叩きつけることばかりを考えてしまうと、クラブを鋭角に下ろしてしまう。上から打ち込む意識が強くなると、手元が先行した状態となり、リーディングエッジがボールに当たりやすくなる。このような状態になるとバウンス(ウェッジの裏面)が使えなくなるだけではなく、ヘッドを走らせてバウンスを滑らせることもできなくなる。
その結果、リーディングエッジが砂に潜るだけでボールが飛ばなかったり、リーディングエッジが直接ボールに当たってホームランになってしまう。
メンタル的にも砂に打ち込もうと考えると、上半身に余計な力が入りやすくなり、クラブはアウトサイドイン軌道となり更に鋭角に下りてくる。砂が全く入っていない土のようなバンカーでは上から打ち込むことが必要だが、ある程度砂のあるバンカーでは必要以上に打ち込む必要はない。
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再現性が高い! 振り子型パッティングストロークの身につけ方
世界中のパッティングコーチにティーチング理論を教わってきたが、パッティングには大きく分けて2通りの打ち方があることがわかった。パターをまっすぐに動かす直線型ストロークと、インサイドイン軌道で打つ振り子型ストロークだ。どちらも理にかなった打ち方だが、振り子型ストロークは体の動きによってパターをコントロールするため、末端の手や腕を使わず再現性が高い。精度の高いストロークを要求されるプロの世界では、再現性の高い振り子型ストロークを採用している選手が多い。
振り子型ストロークはショルダーストロークとも呼ばれることがあるため、ショルダー(肩)を使って打つと思っている人もいるかもしれない。しかし、実際は肩の上下動ではなく、胸椎の回旋動作によって行われる。
この胸椎の回旋による振り子型ストロークを行うために、胴体の動きでパターを動かすイメージが大事になる。たとえば、胸の真ん中や背骨からパターが生えているようなイメージを持つといいだろう。胴体から伸びているパターでボールを打とうとすれば、胸や背中を回転させてパターを動かそうとするはずだ。手先だけでパターをコントロールしようとは思わないだろう。
胴体からパターが伸びているイメージをつかむには、実際にパターを体にくっつけてみるのが手っ取り早い。そのイメージを作るのにうってつけなのが長尺パターだ。長尺パターを胸につけ、上半身の動きでパターを動かしてみると、手や腕などの末端を動かさなくてもストロークできることがわかるはずだ。長尺パターを手に入れられれば話が早いのだが、アンカリングが禁止され、規則が変わったことで長尺パターが手に入りにくいということもあるだろうし、練習のためだけに長尺パターを買うのは少しもったいない。
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ゴルフボールの曲がりの修正は、フェースの向きを把握することから
よく見てみると、ゴルフクラブは不思議な形をしている。長い棒の先にフェース面がついたヘッドがついている。しかも、ヘッドにはロフト角がついていて、ボールを打つ面が目標に正対していない。それに加えて、シャフトの延長線上に重心がないため、棒の先端部分で打つことができない。棒の先端から飛び出たヘッドの中心でボールを打つ必要がある。こんな変わった道具を使うスポーツは他にあまりないし、これに似た道具は日常生活でもほとんど使わない。他のボールを道具で打つ競技を見れば、野球やソフトボールは棒状のバットを使って打つし、テニスや卓球は面が大きなラケットを使う。このようなシンプルな道具は、棒や面のどこで打つかを意識することはあっても、スイング中に打つ面がどこを向いているかわからなくなることはほとんどないだろう。
しかし、ゴルフクラブは複雑な構造をしているため、フェース面がどこを向いているのか感じることができないゴルファーもいることだろう。クラブフェースの向きはボールが飛ぶ方向に大きく影響するので、スイング中のフェースの向きを管理し、どこを向いているのかを感じ取ることが必要になる。
以前、メジャートーナメント3勝のPGAツアー選手、ジョーダン・スピースを指導するキャメロン・マコーミックに話を聞いた際、スピースを指導し始めたときに一番驚いたのが、フェースの向きを感じ取る「空間認知能力」だと語っていた。この空間認知能力が高ければ、フェースを思い通りにコントロールし、ボールをイメージ通りに操ることができるという。ボールの曲がりが大きく思い通りにボールが打てない人は、フェースの向きに問題がある場合が多い。そのような人は再現性の高い球を打つために、一度フェースの向きを確認してみるといいだろう。
フェースの向きを確認する場合、まずは鏡の前でハーフウェイバックやトップなどのポジションごとに、スイング中のフェースがどこを向いているか確認してみるといいだろう。
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