GOLF

2022.01.22

脱オーバースイング! 正しい右腕の使い方──連載「吉田洋一郎の最新ゴルフレッスン」Vol.176【動画解説】

世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子・吉田洋一郎による、最新ゴルフレッスンコラム176回目。多くのアマチュアゴルファーを指導する吉田洋一郎コーチが、スコアも所作も洗練させるための技術と知識を伝授する。

【オーバースイングの原因は右サイドの動き】

ボールを飛ばすために、バックスイングを大きく上げてヘッドスピードを速くしようと考えている人は多いかもしれない。そのような考え方は決して間違いではなく、クラブを大きく振り上げ、インパクトまでの助走距離を長くしたほうが飛距離は出る。実際に、飛距離を出すことに特化したドラコン選手たちは、大きく振り上げたトップポジションから驚異的な飛距離を実現している。

しかし、トップの位置を大きくすればするほど、ボールの方向性が失われる傾向にある。トップでシャフトが地面のポジションよりも大きく上がった「オーバースイング」の状態になると、体と腕のシンクロが崩れるため、振り遅れてプッシュアウトやプルフックの原因になりやすい。また、オーバースイングになると体と腕のシンクロが崩れるため、この状況を解消しようとして腕を急激に振り戻すと、腕の振り戻すタイミング次第で右にも左にもボールが飛んでしまう。

ボールを遠くへ飛ばそうとしてバックスイングを大きく上げている人だけではなく、本人は振りかぶっているつもりはないのにオーバースイングになっている人もいる。その原因は右手の使い過ぎなどによって、右サイドの肘や脇が開いて体と腕のシンクロが崩れることにある。右脇や右肘が大きく開いてしまうと、オーバースイングになりやすいだけでなく、トップの位置も安定せずスイングの軌道も狂ってしまう。

オーバースイングは方向性を損ねるだけではなく、見た目もカッコいいとは言えない。仲間から「オーバースイングになっている」と言われた経験のある人は、何度かオーバースイングを解消しようとしたことがあるかもしれないが、トップを小さくすることを意識するだけではなかなか解消しない。オーバースイングの原因となる右サイドの適切な使い方を練習ドリルで身に付ける必要がある。

【左手で右腕をおさえるドリル】

今回はオーバースイングを解消する練習として、左手で右腕の外側をおさえてバックスイングする練習ドリルを紹介したい。ドリルの手順だが、まずクラブを右手だけで持ち、左サイドは左ひじを曲げ、左手を甲側に折る。その左サイドを右肘の少し上にあてがってバックスイングをする。左手で右サイドを外側からおさえることで、バックスイング中に右脇や右肘が開かないようにする効果がある。

この練習で身につけてほしいポイントは、右手でクラブを振り上げないことだ。右腕を振り上げる動作でクラブを上げようとすると、右腕が体から離れて体と腕のシンクロが崩れてしまう。体と腕のシンクロをキープするためには、腕を振り上げるのではなく、むしろ右腕をその場に留めておく意識が必要になる。腕をその場に留めておくことで、体と腕のシンクロが保たれ、体の動きをメインとしたバックスイングを行うことができる。この練習ドリルでは左手で右サイドをおさえることで、右腕がその場にとどまるような感覚を出すことができるため、上半身の動きに合わせて腕が動く動作を身に付けることができる。

この練習を行うことで、トップで脇が締まり、右肘は下を向くため大きくクラブを上げづらくなる。それまでバックスイングを大きく振りかぶっていた人にとっては、トップの位置がコンパクト過ぎて物足りなく感じるかもしれない。

しかし、実際のスイングでは、クラブはバックスイング前半に生まれた勢いによって、自分のイメージするトップの位置よりも高くなる。自分で感じる位置よりも、2割から3割ほどトップが大きくなると思っていいだろう。惰性でちょうどいい位置にクラブが上がっていくことを考慮せずに、バックスイング後半に腕や手の力でトップに持っていこうとするとオーバースイングになってしまうので気をつけてほしい。

バックスイングは、自分で少し窮屈でコンパクトだと感じるくらいがちょうどいい。オーバースイングを解消するために、右サイドを使いすぎないバックスイングの感覚を身に付けてほしい。バックスイングの体と腕のシンクロが高まることで、スイングの再現性が高まり球筋が安定するだろう。

TEXT=吉田洋一郎

PHOTOGRAPH=小林 司

COOPERATION=取手桜が丘ゴルフクラブ

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