世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子・吉田洋一郎による、最新ゴルフレッスンコラム151回目。多くのアマチュアゴルファーを指導する吉田洋一郎コーチが、スコアも所作も洗練させるための技術と知識を伝授する。
大きなバックスイングがミスの原因
先日、アプローチが苦手なアマチュアゴルファーYさんにレッスンをする機会があった。最初に現状を確認するため、アプローチ練習場でサンドウェッジで20ヤードほどのピッチ&ランのアプローチショットを打ってもらった。すると、Yさんは20ヤードの距離にもかかわらず、フルショット並みにバックスイングを振り上げ、インパクトではクラブヘッドをボールにぶつけて終わりという打ち方をしていた。
Yさんの20ヤードのアプローチショットの振り幅は、左腕の動きを時計の針で例えると、バックスイングは11時、フォローは5時といった具合だった。このようなバックスイングが大きく、フォロースルーが小さい左右非対称なスイングは、アプローチが苦手な人によくある傾向で、インパクトの強弱で距離を合わせるためバラつきが出やすい。このような打ち方をしているとスイング軌道が安定しないため、ダフったりトップしたりといった打点のブレにもつながる。
アプローチはインパクトの強弱ではなく、スイングの振り幅で距離感を出すことが大切だ。そう言うと、「それは分かっています。振り幅を意識しています」と言う人もいるのだが、実際は無意識にインパクトで力を入れたり抜いたりしている人が多い。自分ではなかなか気づかないクセを解消することで、距離を上手に合わせることができるようになる。
フォロースルーの振り幅を意識する
物を投げるとき、多くの人はフォローサイドを意識する。例えば、あなたがカゴにボールを下手投げで入れようとする場合、距離感を出すためにフォローサイドの手の動きをイメージするだろう。同様に、ツアープロもアプローチショットを打つ際、素振りでフォロースルーをイメージして距離感を合わせている。
アプローチの距離感が合わない人は、物を投げるときのようにフォロースルーを意識してみてほしい。なかにはインパクト以降は考えたことがないという人もいると思うので、まずは実際にボールを下手投げで目標に投げてみるところから始めてみるといいだろう。
フォロースルーを意識する際、動作が止まる位置である「出口」が重要になる。スイング軌道の「出口」を決めてから、バックススイングをどこまで上げるかを逆算し、「入口」を決めることで、不必要に大きくバックスイングを上げることはなくなる。フィニッシュの「出口」を決めることで、インパクトは通過点となり、クラブヘッドが加速しながらボールをゾーンでとらえることができるようになる。
フォロースルーを意識するために、まずは素振りでアプローチの振り幅を確認してみよう。「出口」のポジションを確認しながら、フォロースルーに意識を向けてほしい。このとき、インパクトで力を入れたり、逆に緩めてしまわないように、スイング中は同じスピードになるように気を付けてほしい。フォロースルーに意識を集中することで、自然とスイング軌道の中でボールをとらえる感覚が身についていく。
素振りで振り幅をイメージできたら、実際にボールを打ってみよう。この時、素振りのようにボールを打てず、インパクトの強弱が出てしまうという人もいるだろう。そのような場合は、バックスイングを小さくしてフォロースルーを大きく取るようにしてほしい。バックスイングを小さくすることで、ヘッドを加速させながらインパクトすることが必要になるため、フォロースルーを大きくすることが容易になる。
前出のYさんにもバックスイングとフォロースルーの割合を1:2にしてもらい、スイング軌道の中でボールをとらえることを意識してもらった。フォロースルーを大きくすることを意識したことで、自然と体の回転で打てるようになり、打点が安定して距離感も良くなった。
アプローチではフォロースルーをしっかりとることで、インパクトが「点」ではなく「ゾーン」となり、距離感や打点が安定する。まずは自分の振り幅をコントロールし、距離を打ち分けるための基準を作るようにしてほしい。