世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子・吉田洋一郎による、最新ゴルフレッスンコラム122回目。多くのアマチュアゴルファーを指導する吉田洋一郎コーチが、スコアも所作も洗練させるための技術と知識を伝授する。
パッティングのオーバースイングを治す方法
先日、スコア90くらいのアマチュア男性のラウンドレッスンを行った。ショットはまずまず良かったのだが、パッティングがもったいなかった。ミドルパットが毎回大きくオーバーしていて、3パットを繰り返していたのだ。その原因は、彼の大きすぎるテークバック「パッティングのオーバースイング」にあった。
あるホールでは、5メートルの距離から、まるで10メートルでも打つかのような大きなテークバックをとって打ち、3メートルほどオーバーしてしまった。そして、返しの3メートルでも、同じく大きなバックスイングをとるのだが、先ほどのオーバーを警戒し、距離を合わせるため減速しながらインパクトをした。その結果、インパクトが緩んでしまい、ボールをしっかり打てずショートしてしまった。このような距離感のミスを繰り返し、3パットを重ねてしまっていたのだ。
そこで、彼にテークバックが大きい「オーバースイング」の状態になっていることを伝え、テークバックを小さくするようアドバイスした。ところが、数ホールたってもテークバックが小さくならず、相変わらずパターを大きく後ろに引いている。本人に「テークバックを小さく上げることを意識していますか?」と聞いてみたが、自分では小さくしているつもりなのだという。テークバックを小さくできない原因は、今までの大きなテークバックに慣れてしまって変えられないということもあるが、テークバックを小さくするとボールが転がらないように感じて、無意識に今までと同じオーバースイングになってしまうということもある。
フォローで加速する感覚をつかむ
パッティングのテークバックが大きい人は、インパクトでパターヘッドを減速させて距離の調整を行う傾向がある。大きなテークバックからヘッドを加速すればオーバーするのは明らかなため、パターヘッドを減速しながら距離感を調整するのだ。単純にテークバックを小さくすれば、今まで通りパターを減速させてボールを打つため、ボールは転がらなくなる。そのため、ボールがカップに届かないように感じ、いつもと同じように大きく上げてしまう。このようなインパクトで減速するクセは距離感が合わないだけではなく、軌道が不安定になるため方向性を損ねる。
テークバックを小さく上げているつもりでも、実際は大きくなってしまう人は、意識をテークバックではなく、フォロースルーに向けるといい。フォロースルーを大きくするように意識すれば、パターヘッドが加速しながらボールに当たる感覚がわかってくる。この加速感がわかれば、テークバックを小さくしてもボールをしっかり打てることがわかるはずだ。最初はテークバックを1、フォロースルーを9くらいの割合で極端に行ってみてほしい。それでも、最初のうちは、バックスイングのほうが大きくなるかもしれない。ヘッドを加速させながらインパクトする感覚が身についてきたら、徐々にテークバックとフォローの割合が同じになるように調整するといいだろう。
パターヘッドが加速する感覚がつかめると、今までよりボールの転がるスピードが一定してくる。今までのように勢いよくボールが飛び出たり、弱々しく転がるのではなく、毎回順回転でゆっくりと転がった球が打てるようになるはずだ。
加速しながらボールを打てることができるようになれば、オーバースイングのテークバックも解消できるようになる。そうすれば、ボールのスピードをコントロールできるようになり、微妙な距離感も合わせられるようになるはずだ。