世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子・吉田洋一郎による、最新ゴルフレッスンコラム73回目。多くのアマチュアゴルファーを指導する吉田洋一郎コーチが、スコアも所作も洗練させるための技術と知識を伝授する。
回転運動の中心になる軸
スイングづくりで重要な役割を果たす、"軸"。体、そしてクラブは回転運動なので、その中心になる軸は必要不可欠だ。軸を維持できないと回転の中心が不安定になるので、再現性が低くなったり遠心力を生かせなかったりする。
体の動きを説明するとき、ほとんどの場合、軸は背骨と説明される。頭から地面にかけて串を通すようなイメージだ。横回転の軸になる垂直軸である。実はこの垂直軸の他にも、スイングには2つの軸が存在する。
垂直軸以外の2つの軸
1つはへその下あたりで体の前後に通る前後軸だ。これは右肩と左肩を入れ替える動き(肩の縦回転)の中心になる軸だ。前傾を深く構えるパッティングストロークなどで意識することがあるかもしれない。
そしてもう一つは、腰のあたりを横に貫く飛球線方向軸だ。右腰から左腰に飛球線と平行に貫かれているイメージだ。これは体の前後方向の回転の軸で、スイング中に遠心力で体が起きたり沈んだりする際、その動きの中心になる。
自分に合ったイメージを探す
このようにスイングを分析すると軸は3つに分けられるが、プレーヤーがスイングの中でそれをすべて意識する必要はない。そんなことをしたら、がんじがらめになってしまい、思い切り振ることができなくなってしまうからだ。
ただこれまで背骨の軸だけを意識していた人は、先に挙げた2つの軸も意識してみるといいだろう。スイング中のチェックポイントは極力減らしたいので、一つ一つイメージをしながら振ってみることをおすすめする。そしてどの軸でも2次元で考えるのではなく、3次元でどこに軸になる線、または点が置かれているかをより具体的にイメージしてほしい。
特に前後軸は縦の地面反力を生かすうえで重要なので意識できるようにしたい。前後軸を感じるために、パターのように前傾を深くした状態でクラブを握り素振りをしてみるといいだろう。バックスイングで左肩が下がり、フォローで右肩が下がる縦回転の動きが前後軸の動きになる。肩の上下動だけではなくおへそ周辺を中心とした前後軸の軸回転を意識してこの動きを繰り返してみてほしい。
軸は目には見えないものだが、重要な役割を果たさなくてはならないものだ。自分が信じ切っていたものを一度疑ってみることで、パフォーマンス向上のきっかけをつかめるかもしれない。