世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子・吉田洋一郎による、最新ゴルフレッスンコラム64回目。顧客の多くが国内外のエグゼクティブ、有名企業の経営者という吉田コーチが、スコアも所作も洗練させるための技術と知識を伝授する。
歩くときに使う地面反力
この連載でも何度か紹介している“地面反力”。地面を踏み込んだ際に生まれる反動の力の事で、欧米のトッププロはこの力を体の回転に変え飛距離を出している。
回転を速くすると言えば、軸を意識して自らの筋力で早く回るか右から左に体重移動をするというのが一般的だ。だからスイング中に下半身を踏み込み、反動の力を生み出すというイメージは非常に想像しにくいようだ。
地面反力を生かしたスイングでは、切り返しで左かかと部分をグッと踏み込む。そうすることで左ひざをはじめとした左サイドが伸びる。その伸びた左サイドに手元が引っ張られる形で、クラブが高速に下りてくるという仕組みだ。
地面反力というのが聞きなれない言葉で、かつプロが使っている技術ということで難解なイメージを持たれやすい。しかしこの力は、日々我々が無意識に使っているものだ。例えば歩くとき。一歩踏み出した状態では、前足のひざは曲がっている。その後、地面を踏み込むとひざが伸びて、その勢いで後ろ足を前に出すことができる。踏み込んだ前足が地面からの反力を受けて伸び上がり、後ろ足に作用する。この一連の流れはスイングで使われる地面反力を生み出す動きと同じだ。
特殊技術というよりコツに近い
このように地面反力を生み出すこと自体は、なんら難しいことではない。歩いているときも使っているものなので、特殊な技術というよりはいわばコツのようなものだ。ただスイングのなかで生み出すには、左足の踏み込むタイミングが重要になる。
切り返しのきっかけとして、左かかとで地面を押す動きを行いたい。最初はイメージがわきにくいと思うので、野球のバッティングのように左足を上げステップをするように踏み込んで振ってみよう。トップにクラブが到達する前に、左足を踏み込む意識を持つとちょうどよいタイミングで地面を押すことができるだろう。
その後ダウンスイングで地面を押した反動で左ひざが伸び、インパクトに向けてクラブが加速する。このときインパクトで左足を踏ん張ったり、肩や腰を自分の力で回したりするとせっかくの地面反力を効率よく使うことができないので気を付けたい。インパクトでは左足は上方向への力が加わるため足の裏が浮くような感覚の「抜重」された状態となり、上半身は前傾角度をキープしながら回転する。クラブを持つとイメージがわかないという人は、アンダースローでボールを投げてみると左ひざが伸びて上半身が回転する感覚がわかるだろう。
踏み込むタイミングをつかむのはなかなか難しい。特に上半身に頼って打っていた人は下半身の動き出すタイミングが早く感じることだろう。まずは素振りを繰り返し、自分が振りやすいタイミングを探してみてほしい。それさえ見つけることができれば、PGAツアーのトッププロが使う力の出し方を、あなたもつかえるようになる。