連載「I Don’t WEAR Jewelry. I WEAR Art」今回は、まさしく“宝飾”の象徴、名門「ハリー・ウィンストン」。
己が何者であるか、その胸元が雄弁に語ってくれる
シンボルとは、言葉では表せない心象の表現。ハリー・ウィンストンは、それをレリジオンに基づくデザインと、ゴージャスなダイヤモンドで示した。一般に知られる十字架とは異なる形状で、スラブ系正教会などで用いられる八端十字架。通常先端が4つのところ、8つの先端を備えた十字架のことだ。これだけでも十分にシンボリックだが、あしらった合計35粒ものダイヤモンドが、その存在感をさらに高める。40×30mmというサイズも相まって、胸元で燦然と輝く姿は、まさにシンボリックであり神々しい。揺るぎない信念を持った、そんな男に見せてくれる。
美しいだけじゃなく、強く輝いてこそダイヤモンド
ダイヤモンドをセットした小さなピースを連結させた、繊細にしてシンプルなテニスブレスレットは、ユニセックスで愛されている。ただし、ハリー・ウィンストンのブレスレットは、シンプルと呼ぶにはあまりにゴージャス。約0.26カラットのダイヤモンドを合計61粒も使用。エメラルドカットが静謐(せいひつ)な輝きを湛え、さらにプロングセッティング、いわゆる爪留めがダイヤモンドの存在感を強くアピールする。頭文字のHWをあしらったダイヤモンドのラペルピン然り、やはりハリー・ウィンストンの醍醐味は、ダイヤモンドの魅力を余すことなく主張してくれる点にある。
■連載「I Don’t WEAR Jewelry. I WEAR Art」とは……
時にファッションとして、時にシンボルとして、またはアートに……。ジュエリーを身につける理由は、実にさまざまだ。だが、そのどれもがアイデンティティの表明であり、身につけた日々は、つまり人生の足跡。そんな価値あるジュエリーを紹介する。