ダンヒルが提示する、現代におけるトレンチコートの試金石
故(ふる)きを温(たず)ね、新しきを知る。クラシック回帰、トラッド回帰が叫ばれているのと同時に、相変わらずストリート人気が続いている今、ダンヒルの提案は実に腑に落ちる。
トレンチコートという英国における伝統的なアイテムを、ジップによりセパレートできる仕組みにより、複数の着方を可能に。これは、先季の「コンペンディウム・コート」を踏襲したものだ。柔らかなツイル地はコットンにシルクを38%もブレンドしたもので、1枚仕立てとともに実に軽やか。その生地感を際立たせるリラックスシルエットも、まさしくクラシックにしてイマドキと言える。
一方ディテールでは、バックルやハンガーチェーンなどにゴールドカラーのメタルを採用し、英国らしい重厚感を滲ませている。トレンドが細分化、多様化されるなか、現れたニューノーマルという立ち位置。ダンヒルが提案する温故知新、つまりバランスの取れたクリエイションは、そんな時代とシンクロする。