独創的なクリエイションにより、今日まで紳士服の進化を導いてきたジョルジオ アルマーニ。今季は100年以上もほぼ形の変わらないスーツにも、固定概念を打ち破り、新たな可能性を見いだしている。上下共地にして着回し自在なその服が体現するのは、紛うことなき未来の紳士像である。
スーツをクラシックから解放する、モードの帝王の美学
温故知新のクリエイションが生む紳士のユニフォーム(左)
シャツジャケットタイプのブルゾンとツータックトラウザーズによる新鮮なスーツは、 紳士服の原点のひとつである、ミリタリーやワークのユニフォームに通じる佇まい。ウールシルクナイロンの軽快なストレッチ生地は、繊細なシャドーマイクロチェック柄が織り込まれており、光の加減でモダンに浮かび上がる。台襟つきで立体的な襟回りは、タイドアップはもちろんカットソー1枚に羽織っても物足りなさを感じさせず、 制服然とした毅然たる雰囲気で装える。
モードの地平から提案する、メンズスーツの新解釈(右)
フルジップブルゾンと共地のワンタックトラウザーズを組み合わせた、まったく新しいスーツの提案。カスリ調の繊細な柄が凝らされた、薄手のウールシルクの一枚仕立てであり、シャツ感覚で軽やかに羽織れるが、肩回りは立体的でテーラードらしいき ちんとした凛々しさがある。それでいて無駄のないミニマルな表情には、洗練を極めたエレガンスが漂う。また胸元がVネック風でタイドアップも収まりがよく、細部まで計算されたデザインだ。
スーツで装える都会的かつスマートな大人のアメカジ(左)
米海軍のユニフォームであるCPOシャツを思わせるブルゾンは、コンパクトなシルエットによりボタンを開けて羽織ってもだらしなくならないバランスが秀逸。やや大きめのボタンや左胸のフラップポケットがアクセントになっており、シンプルなニットに合わせるだけでさまになる。シャープなシルエットのストレッチデニム製ジーンズにスニーカーというアメカジ風の合わせながら、洗練された大人らしい都会的スタイルにまとまる。ブルゾンは上左と同じ。
紳士の休日にふさわしいスポーティエレガンスの真骨頂(右)
上右のスーツのフルジップブルゾンのみを着回したカジュアルスタイル。襟元がやや下がったVネックのような独自デザインは、シャツとも相性は申し分ない。ワイ ドシルエットのホワイトリネンパンツと合わせ、控えめながら若々しいスポーティエ レガントでラグジュアリーな休日スタイルが完成する。ブルゾンは上右と同じ。
正統を知るがゆえにたどりついた、次世代スーツの自由さ
今こそ求められるリラックスエレガンスを纏う(左)
一見ベーシックなソリッドネイビーのセットアップスーツだが、なめらかなシルクナイロンの生地は光の加減により、細かいシワのような表情が光沢のなかに浮かび上がるユニークな素材。芯地類を用いないジョルジオ アルマーニ得意のアンコン仕立ての柔軟さと相まって、リラックス感のあるこなれた雰囲気が漂う。タイドアップしてもかっちりしすぎず、周囲を威圧する厳つさもない。まさしく現代の紳士が求めるネイビースーツである。
モードとクラシックが交錯する近未来のスーツの面持ち(右)
デザインだけではなく、革新的な素材使いにおいてもスーツの概念を覆してきたジョルジオ アルマーニ。非常に立体的な凹凸が独創的な表情の生地は、ウールリネンシルクをベースとしたシアサッカーであり、グレンチェックのパターンに合わせて表面が隆起したオリジナルファブリックだ。デザインはベーシックながら、陰影が際立つ無二の表情がどこか近未来的である。肩パッドや芯地を用いない近年人気のモデルゆえ、カジュアルダウンもしやすい。
キザにならないネイビー×ホワイトの着こなし方(左)
ネイビージャケットにホワイトのストレッチウールシアサッカーパンツを合わせた、これからの季節に最適の爽やかな着こなし。柔らかなアンコン仕立てやシワのようなこなれた表情により、キザにならずリラックスした雰囲気で着こなせる。シルク素材のVネックTシャツは小紋柄にGAロゴを騙し絵のように凝らした、アイコニックなデザインだ。ジャケットは上左と同じ。
ニット感覚の快適さとジャケットの上品さを享受する(右)
グレンチェックシアサッカー生地のジャケットは、芯地類を用いない仕立てであり、生地自体に伸縮性もあるため、カーディガンのように快適だ。Tシャツなどのカットソーにもニット感覚で合わせられ、また存在感ある表情により、羽織るだけで装いがきまる。それでいてジャケットゆえニットよりきちんと見え、ナチュラルなリネンのイージーパンツを合わせても脱力しすぎない。休日に加え、旅に持参しても重宝するはず。ジャケットは上右と同じ。