シーズンごとのトレンドを把握することは、洒脱への早道だ。ラグジュアリーから古着まで精通する小誌ディレクター・島田 明が、センスアップの決め手となる最旬アイテムと着こなしを紹介。
KNIT SNEAKERS/ハイテクながらも落ち着いた大人の最新スニーカー
「流行のサイクルや人々の気分以外にも、トレンドを左右するものとしてあげられるのがテクノロジーです。近年増えたニットスニーカーは、まさに最新技術が生みだしたトレンド。ニット特有のフィット感に加え、切り替えのないシンプルなデザインが主流であり、大人が落ち着いて履けるモデルも充実しています。ここ数年のブームによる“スニーカーバトル“に辟易としてしまった大人が履くには、うってつけの一足といえるでしょう」
NORDIC SWEATER/世相を色濃く反映するトラッドアイコンの新解釈版
「世相が混乱すると英国スタイルが流行る、というのはファッション業界のジンクス。コロナ禍の現在、流行に左右されにくい英国アイテムが注目されているのもジンクスどおりですが、英国のニットメーカーが世界に広めたノルディック柄のセーターは、目下、注目を浴びているアイテムのひとつです。興味深いのは、提案されているどれもがポップにアレンジされている点。袖を通せば、混乱した気持ちをポジティブな方向に向かわせてくれるはずです」
NEO CHUKKA BOOTS/スポーティすぎずクラシックすぎない、絶妙なバランスがちょうどいい足元
「“ポスト・スニーカー”の流れは、今季加速する気配を見せています。そのなかで注目しているのが、明るめのカラースエードを用いたチャッカブーツです。現代芸術家デヴィッド・ホックニーのポップなスタイルがイメージソースであり、スニーカー的なスポーティさとクラシックなカジュアル感という異なるアプローチでコーディネイトできるのが、今の足元にちょうどいい。ジーンズからスラックスまで合わせられるのも魅力です」
VINTAGE DENIM/ヴィンテージデニムを大人向けにツイストした新たなジーンズの形
「ヴィンテージデニム市場が、再び熱気を帯びています。今や希少な古着は驚くほどの高値となっていますが、ラグジュアリーシーンに目を向けると、そんなヴィンテージデニムに新鮮な魅力を吹き込んだモデルが充実。ヴィンテージに見紛(みまが)う美しい色落ちながら、ストレッチ機能で快適なものや、クリース入りでジャケットとエレガントにコーディネイトできるものなど。こうしたモデルなら装いに取り入れやすくお薦めです」
AKIRA SHIMADA
1963年東京都生まれ。雑誌『MEN’S CLUB』にて編集者としてキャリアをスタート。その後、雑誌『LEON』で編集長代理、『Esquire』でファッションディレクターを経て、2011年より小誌ファッションディレクターに就任。現在、Patrick CoxやHEADなど国内外のブランドのディレクターも務めている。