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FASHION

2020.12.22

小木“POGGY”基史が憧憬の念を抱くロロ・ピアーナ。その運命的な「縁」と挑戦的な「仕掛け」とは!?【インタビュー】

ファッションディレクターとして、Instagramフォロワー15万人超えの“アイコン”として、国内外のファッションシーンに多大な影響を与える小木“Poggy”基史氏。キュレーターとしても多岐にわたるジャンルで活躍してきたが、次なる一手として仕掛けたのは、原材料から生地、そして製品にいたるまで一貫して最高峰を追求するロロ・ピアーナだった。新たなる挑戦的な仕掛けの背景には運命的な縁があった。

小木“Poggy”基史

自身がロロ・ピアーナに別注したモデルを纏う小木“Poggy”基史

運命的な縁

今やファッションキュレーターとして世界中から注目される存在となった小木“Poggy”基史氏は、かねてより、ロロ・ピアーナによる最高品質のカシミアに「惚れていた」という。

「2年前にユナイテッドアローズから独立した時に“今後5年以内にやりたいこと”を記したんです。そのメモに、“ショップのディレクション”に加えて、“ロロ・ピアーナのようなクラシックで上質なブランドをストリート的なアプローチでディレクションしたい”というようなことを書きました。お店とブランドを両方やっていた人は当時、ミラン・ヴィクミロビッチ(ジル・サンダーのクリエイティブディレクターなどを歴任)ぐらいしかいなかった。そういうことができたらいいなというのが自分の中にずっとあったんです」

新しいアイデアが浮かんだり「こういうことをやりたい」と思いついた時には、積極的に知人や仲間に話して可能性を探っていくのがPOGGY氏流のスタイルだ。今回、実現したロロ・ピアーナとの別注モデルも、ある“縁”から始まった企画だった。

「去年、ある展示会に行ったときに、ロロ・ピアーナの生地を使ったmidorikawaというブランドのつなぎをたまたま着ていたんです。それを見た(GOETHEエディトルアルディレクター)編集者の島田明さんから“面白いね、その服”と声をかけてもらったんですよ。その時に思い切って、“僕、実はロロ・ピアーナと仕事がしたいんですよ”と言ったら、島田さんがすぐにブランドと繋いでくださったんです。そこから始まりました」

独立前から頭のなかに温めていたPOGGY氏の思いは、ロロ・ピアーナの本国ディレクターにも伝わり、賛同を得たことによりプロジェクトが幕を開けたのだった。

挑戦的な仕掛け

今回、Poggy氏がもっとも伝えたかったのは、「若い世代にもロロ・ピアーナの最高峰の素材を伝えたい」というメッセージだった。若かりし頃に裏原宿の「ストリート」でファッションに目覚めたが、20歳で入社したユナイテッドアローズで「トラッド」を教わったという。長年にわたりファッションの道を突き詰めてきたが、これまでの人生を通して「ストリート」と「トラッド」のどちらの道も通ってきたからこそ「新たに伝えられることがある」と考えている。

「独立してもう一度トラッドというものを自分自身、見直してみたかったし、自分が好きなセレクトショップをさらに生かすためにはどうしたらいいのかということを、ずっと考えてきた。いろんなものをアイデアの根源としていましたが、たとえば、カニエ・ウエストが2007年に出したアルバム『Graduation』が衝撃的だったことは今でも思い出しますね。ジャケットを村上隆さんが描いたり、接点がなかったエレクトロミュージックとヒップホップをミックスしたりとか……。今のファッションも、アートトイ、ゲーム、アニメなどに近づいてきているので、そういういろんなものをミックスしつつ、トラッドなものを生かしながら新しい形で伝えられたらなと思っています」

LOVEの刺繍

ベビーカシミア素材のニットには、LOVEの刺繍を刻んだ。

そんなファッション哲学を形にしたのが、今回のロロ・ピアーナの別注だ。カシミヤよりもさらに希少素材のベビー・カシミヤを使ったニットは、通常のロロ・ピアーナのサイジングより3サイズ大きくしているという。さらに、現代社会へ送るメッセージとして“LOVE”という4文字の刺繍を入れたのである。これまで、ロロ・ピアーナの商品では、イニシャル以外で刺繍が入った服は存在しなかったという。

「ベビー・カシミアという言葉の響きはこれまで聞いたことなかったのですが、調べれば調べるほど、ものすごく希少な素材ということもわかってきて、そういった最高峰の素材を若い世代にも伝えたかったんです。トラッドって一生着れるものなので若い人が着てもカッコいいんです。素材の良さを伝えるために、サイズアップで、なんとなくヴィンテージスウェットみたいに着れるような感じにしました。LOVEの刺繍はコロナ時代に対しての僕なりのメッセージになればいいと思い、つけました。服に対する愛、人に対する愛をこめています」

ベビー・カシミア ニット¥173,000、オープン・ウォーク シューズ¥118,000

ニットに加え、ブランドのクラシックなオープン・ウォーク・シューズも展開している。いずれも、カラーバリエーションは自身がお気に入りのピンクと、ロロ・ピアーナの代表的なカラーともいえるダークネイビーの2種類を準備している。

「今回、GENERATIONSの佐野玲於くん(24)とか、関西のラッパーのウィリーウォンカくん(23)に着てもらったんです。彼らはまだ20代なのに、玲於くんはヴィンテージのものを集めていたり、ラッパーって普通ジュエリーとかに走ったりするんですけど、ウィリーウォンカくんはいい革靴を買っていたり、割と面白い世代も出てきている。そういう子たちが新しい定番として着てくれたらいいなと。やっぱり彼らも素材の良さに驚いていましたね。質の良さとともに、トラッドなものを時代に合わせてどう伝えていくかがすごく大切だと改めて思いました。ロロ・ピアーナに別注させてもらったものはかなりハイレベルな挑戦でした。そういうのを続けていかないと、いいものも伝わらないですね」

「ストリート」を知っているからこそ、「トラッド」なものを伝えたいと思う。その逆も、またしかり。これからも、小木“POGGY”基史氏は、運命的な「縁」を大切し、挑戦的な「仕掛け」を続け、ファッションの王道を突き進むに違いない。

小木“POGGY”基史
1976年北海道札幌市生まれ。ファッション・キュレーター。’97年からユナイテッドアローズに在籍し、Liquor,Woman & TearsやUNITED ARROWS & SONSを立ち上げる。2018年に独立し、自身の会社を設立。’15年、’16年、’19年とHYPEBEASTが選ぶ100人「HB100」に選出される。現在は渋谷PARCO内に昨年オープンした、スタジオ2Gのファッションディレクターを務めている。

問い合わせ
ロロ・ピアーナ ジャパン
TEL:03-5579-5182
https://jp.loropiana.com/ja/

TEXT=ゲーテ編集部

PHOTOGRAPH=隈田一郎

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