今、チェックしておきたい音楽をゲーテ編集部が紹介。今回は、ELLEGARDENの『The End of Yesterday』。
人生を賭けた勝負を高らかに鳴らす16年ぶりの新作
正真正銘の復活作だ。圧倒的なライヴパフォーマンスで2000年代の日本のロックシーンの主役となるも人気絶頂の2008年に突如活動を休止、その後も“伝説のバンド”として語り継がれてきたELLEGARDEN。2018年の再始動を経て16年ぶりの新作アルバムが届いた。
全11曲の楽曲制作とレコーディングをすべてLAで行った本作。特筆すべきは楽曲のクオリティだ。彼らの魅力である疾走感溢れるバンドサウンドと情熱的なメロディが詰まっている。そして大きなポイントは、待っていたファンを喜ばせるだけの懐古的なものには決してなっていないこと。現地のプロデューサー・エンジニアを迎え、今のUSシーンに通用する最先端のロックサウンドをつくり上げている。
ストレートなパンクロックの「Strawberry Margarita」など彼らの王道もありつつ、独特の浮遊感が漂う「Perfect Summer」や勇壮でダンサブルな「Firestarter Song」など新境地のソングライティングが実現している。
一世一代の勝負に向かう気概を高らかに歌う「Mountain Top」を筆頭に、英語詞中心のリリックにも胸が奮い立つ。年を重ねても守りに入らず過去に頼らない姿勢が音にも言葉にも表れていて、そこにグッとくる。
Tomonori Shiba
音楽ジャーナリスト。音楽やカルチャー分野を中心に幅広く記事執筆を手がける。著書に『ヒットの崩壊』『平成のヒット曲』などがある。