今、チェックしておきたい音楽をゲーテが紹介。今回は、デビュー50周年を記念してリリースしたユーミンのベストアルバム『ユーミン万歳！』。
目の前で歌っているような生々しさで詞の世界観が広がる
ユーミンがデビュー50周年記念3枚組ベストアルバムをリリースした。50曲＋新曲「Call me back」を収録。
リマスタリングされた音を聴き驚愕した。ユーミンが目の前で歌っているような臨場感だった。楽器も全部生々しく鳴っている。今まで聴き取れなかった静かなストリングスやシンバルやギタリストが弦を押さえるキュッという音まで体験できる。
「翳（かげ）りゆく部屋」のパイプオルガンは、レコーディングに使われた東京カテドラル教会にいるよう。山下達郎とハイ・ファイ・セット、4声のコーラスに包みこまれる。「ルージュの伝言」のコーラスは、山下、吉田美奈子、大貫妙子らの声がクリアに聴き分けられる。音のクオリティが高いと、各曲の歌詞の持つ世界観もよりリアルに響く。音を手がけたエンジニアはGOH HOTODA氏。マドンナの『The Immaculate Collection』やチャカ・カーンの『The Woman I Am』など、いくつものグラミー受賞作に携わってきたレジェンドだ。
「Call me back」は、東京大学のスーパーコンピュータで再現した＂荒井由実＂のAIと松任谷由実が共演。40年前の声と今の声が重なると過去と現在が交差し、最新のサウンドに懐かしさがにじむ。
ユニバーサルミュージック¥3,850（映像がパッケージされた初回限定盤あり）リマスターとリミックスでクオリティが上った3枚組オールタイムベスト盤。全50曲+新曲「Call me back」。
Kazunori Kodate
音楽ライター。『新書で入門 ジャズの鉄板50枚+α』『音楽ライターが、書けなかった話』（ともに新潮新書）、『25人の偉大なジャズメンが語る名言・名盤・名演奏』（幻冬舎新書）など著書多数。
