2022年6月17日、ドレイクの最新アルバム『Honestly, Nevermind』がサプライズリリースされ、世界中のリスナーを驚かせた。
ドレイクの転機作『Honestly,Nevermind』
2022年6月17日にサプライズリリースされたドレイクの通算7枚目のアルバム。リリース告知だけでなく、内容についても世界中のリスナーに驚きをもたらした1枚だ。
これまでのヒップホップから音楽性を一変。過去にも"Passionfruit"などで見せたハウスミュージック要素を大胆に取り入れたダンスアルバムになっているのである。ジェイ・Zやトラヴィス・スコットなど豪華メンツが参加した前作に対し、客演はラストの「Jimmy Cooks」に参加した21サヴェージのみ。まさに転機作だ。
プロデューサーには、グラミー賞も受賞した南アフリカ出身のブラック・コーヒーを筆頭にクラブシーンの気鋭のDJたちを起用。アフロビーツ、ジャージークラブ、アマピアノなど世界各地のアンダーグラウンドなクラブシーンから勃興しつつ新たなスタイルも意欲的に吸収している。陶酔感のあるビートにドレイクのソフトで感傷的な歌声が響き、絶妙に心地よいムードをもたらす。
これまで数々の記録を打ち立てたドレイクだが、今作も全米アルバムチャート初登場1位となり通算11作目となる首位を獲得。新たなトレンドを生みだす意欲的な挑戦がスーパースターとしての揺るがぬ存在感に結びついている。
Text=柴 那典
音楽ジャーナリスト。音楽やカルチャー分野を中心に 幅広く記事執筆を手がける。著書に『ヒットの崩壊』『平成のヒット曲』などがある。