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ENTERTAINMENT

2021.07.29

『少年の君』『プロミシング・ヤング・ウーマン』【滝藤賢一の映画語り座】

残虐なシーンを見せなくたって、主人公たちの心の痛みがひしひしと伝わってくる

いやぁ、すごい! 今月はすごいぞ! 1本に絞ることなんてできない! 立て続けにこの2本を観た滝藤。興奮がおさまりません……。近年まれに見る力作。本当なら前知識なく観ていただきたい。できれば、私も黙っていたい。しかし、滝藤は喋りたい!! 伝えたい!! 分かち合いたい!!

ということで、いつもどおりやらせていただきます。2本とも #MeToo 以降の潮流か、以前なら煽情(せんじょう)的に描いた描写を巧妙に避けながらも、登場人物の心の痛みを感じさせるクレバーな演出。敢えて見せないことで、すべてを見せるよりも鮮烈な印象を与える。スマートな手法に時代の変化を感じます。

最初は中国映画『少年の君』。実際の事件に発想を得たそうです。私たち世代だと東野圭吾の『白夜行』を感じさせる世界観。中国の地方都市の進学校でいじめを苦にした女子生徒が飛び降り自殺。居合わせた生徒たちが一斉に写真を撮るなか、倒れた彼女にジャージを被せたヒロインが次のいじめのターゲットに。

シングルマザーの母親は出稼ぎで帰ってこない。教師は受験の合格にしか興味がない。刑事はムカついてしまうぐらい頼りにならない。もう周囲の大人の終わってる感が酷い。いじめ、ストリートチルドレン、受験戦争、社会問題を見事に抉(えぐ)っています。

続いては『プロミシング・ヤング・ウーマン』。男たちへの復讐を夜な夜なする30歳のヒロイン、キャシー(キャリー・マリガン)がわかりやすく罠を仕かけ、同意のない肉体関係を求めようとした者に鉄槌(てっつい)を下します。しかし、あんな簡単に引っかかるもんかねぇ。男って本当にアホな生き物だなぁ。ここでも、どんな復讐か見せず、ホットドッグをかじって表現。滴るケチャップ。ヒャッ! 怖い! やめて! あっ、やめないで! う〜ん、もうサイコーです! 今までありそうでなかった復讐劇。徐々に明かされていく真実。次々に起こる読めない展開に思わず「う、うまい……」と唸る面白さ。もう多くは語りません。

とにかく、ぜひとも観ていただきたいお薦めの2本です。

少年の君_Better Days_main1

少年の君
エリック・ツァンの息子のデレク・ツァンの監督作。今年のアカデミー賞の国際長編映画部門にノミネートされた。

2019/中国・香港
監督:デレク・ツァン
出演:チョウ・ドンユィ、イー・ヤン
チェンシーほか
配給:クロックワークス
新宿武蔵野館、Bunkamuraル・シネマほか全国公開中

PROMISING YOUNG WOMAN

©2020 Focus Features

プロミシング・ヤング・ウーマン
女性監督エメラルド・フェネルが手がけたポップな復讐物語。タイトルは前途有望な若い女性という意味。

2020/アメリカ
監督:エメラルド・フェネル
出演:キャリー・マリガンほか
配給:パルコ
TOHOシネマズ 日比谷&シネクイントほか全国公開中

Kenichi Takitoh
1976年愛知県生まれ。現在開催中の特別展「植物 地球を支える仲間たち」の音声ガイドナビゲーターを務めている。また、8/20公開の映画『孤狼の血 LEVEL2』に、前作に続き出演する。

TEXT=金原由佳

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