部屋でひとり「祝祭」の雰囲気を味わう
今の時代ならではの響きを持ったアルバムだ。東京生まれの三船雅也を中心に活動するフォーク・ロック・バンド、ROTH BART BARON(ロットバルトバロン)。
活動初期から海外レコーディングを敢行し、ボン・イヴェールやスフィアン・スティーヴンスなど、USのインディ・シーンとも共振するようなモダンなサウンドプロダクションを展開してきた彼ら。
ファルセットで高音を美しく聴かせる三船のボーカルと幻想的で躍動感ある演奏は、後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)主宰の音楽賞『APPLE VINEGAR-Music Award-2020』で大賞を受賞するなどミュージシャンからの評価も高い2人組バンドだ。
新作アルバムは「祝祭」をテーマにした1枚。デジタルなエフェクトで作り上げられたアカペラの1曲「Voice(s)」に始まり、ストリングスやホーンをふんだんに用いた生々しい演奏と先鋭的なセンスが絶妙に融合した曲調が魅力的だ。
荘厳なメロディの「ひかりの螺旋」や15歳の少女HANAを迎えた「ヨVE」のフレッシュな響きも印象深い。
全世界的に「集まること」が制限され祝祭が難しくなっている2020年。
喜びの根源的な感情に触れるような聴き心地を与えてくれる。