漫画から得られる体験やワクワク感は、時に仕事のアイデアとなったり、ベンチャーマインドを刺激して起業家たちの背中を押してくれる。ビジネスの最前線で戦う“漫画好き”社長51人に、仕事や人生の指針となっているとっておきの座右の漫画を教えてもらった。
ANRI代表 佐俣アンリ/『課長 島耕作』

『課長 島耕作』
弘兼憲史
講談社 全17巻
もはや教養ともいえる、サラリーマン必読の書
サラリーマン漫画の金字塔「島耕作」シリーズ。その始まりにして不朽の名作である『課長 島耕作』は1983年に連載がスタート。大企業内部の派閥争い、経済活動の末端で奮闘するサラリーマンの悲哀など、団塊の世代の群像をリアルに描写している。「社会人1年目に読んだ時はフィクションに見えましたが、社会人歴を重ねて経験を積むごとに、これはノンフィクションなんじゃないかと思えてくる、そんな趣深い漫画です」
Anri Samata
1984年生まれ。慶應義塾大学を卒業後リクルートを経て、2012年に独立系ベンチャーキャピタルANRIを設立。300億円のファンドを運用中。著書に『僕は君の「熱」に投資しよう』。
ベースフード代表取締役社長 橋本 舜/『ジパング』

『ジパング』
かわぐちかいじ
講談社 全43巻
経営者にとって必要なのは“想像力”
海上自衛隊の最新鋭イージス艦みらいは、ハワイ沖に向けて航行中、突如太平洋戦争真っ只中にタイムスリップ。副長の角松洋介が、自分が助けた将校に未来の情報を教えたことで、変化する歴史の流れに巻きこまれていく……。「経営はシミュレーションと判断が大事だと思っていますが、膨大なリサーチに基づく歴史のifを描き、その世界のなかで自分が判断するとしたらどうするのか? を問うてくる、とてもスケールの大きい漫画です」
Shun Hashimoto
1988年生まれ。東京大学を卒業後、DeNAに新卒入社。2016年にベースフードを設立。世界初の完全栄養の主食である「BASE PASTA」「BASE BREAD」を開発、販売する。
エブリー代表取締役社長兼CEO 吉田大成/『GIANT KILLING』

『GIANT KILLING』
ツジトモ/著
綱本将也/原案・取材協力
講談社 既刊56巻
ベンチャー企業経営に活かせる格言の宝庫
2007年から『モーニング』で連載中の人気サッカー漫画。「『弱いチームが強い奴らをやっつける。勝負事においてこんな楽しいこと他にあるかよ』『何でも思いどおりにいって何が楽しいよ。俺が楽しいのは、俺の頭ん中よりスゲーことが起こった時だよ』など、達海監督の格言にはベンチャー企業経営においてもそのまま当てはまることがたくさんあります。私も会社の仲間とともに、頭の中よりスゲーことが起こる毎日を見続けたいです」
Taisei Yoshida
1980年生まれ。2006年にグリーに入社、取締役執行役員常務などを歴任し、’15年9 月エブリーを創業。「DELISH KITCHEN」や「MAMADAYS」など動画メディア事業を運営している。
L&Gグローバルビジネス代表取締役 龍崎翔子/『ゴールデンカムイ』

『ゴールデンカムイ』
野田サトル
集英社 既刊23巻
仕事に通じる歴史や文化への誠実な態度
「初めて手がけたホテルと同じ北海道が舞台ということで興味を持って読み始めたところ、精緻な取材に基づいたリアリティと大胆なストーリー進行に引きこまれて、夢中になって読みふけった1冊。作者のアイヌ文化へのリスペクトや歴史への誠実な態度を通じて、“仕事”そのものについて考えさせられました」。日露戦争終結後の明治時代末期。不死身と呼ばれた男・杉本佐一を中心に、北海道に眠るというアイヌの埋蔵金をめぐるサバイバル漫画。
Shoko Ryuzaki
1996年生まれ。ホテルプロデューサー。「HOTEL SHE, KYOTO」をはじめ、全国で5つのホテルの運営を手がけている。2020年は、ホテル予約システム「CHILLNN」を本格始動。