役者・滝藤賢一が毎月、心震えた映画を紹介。超メジャー大作から知られざる名作まで、見逃してしまいそうなシーンにも、役者のそして映画のプロたちの仕事はある! 役者の目線で観れば、映画はもっと楽しい!!
ノーベル文学賞受賞を機に、夫婦の関係が崩れていく
『天才作家の妻 -40年目の真実-』は、ノーベル文学賞を受賞したアメリカ人作家とその妻の物語。
イギリスの名優、ジョナサン・プライスが夫ジョゼフを、あの『危険な情事』の恐ろしい不倫相手役が忘れられないグレン・クローズが、夫をずっと陰で支えてきた妻ジョーンを演じています。このふたり、言うまでもなく最高です! そして、この夫婦の関係に疑惑を抱くジャーナリストにクリスチャン・スレーター。
この映画、2人もしくは3人という少人数でかけ合いがなされているシーンが多々ありますが、会話の内容もさることながら、駆け引きが実に巧妙。実力、経験がともに備わっている俳優がやると、ここまで面白くなるのかと見入ってしまう。
個人的にはジョゼフの嫉妬心と虚栄心がいじましく、大いに共感してしまいました。そして、自分も妻にどっぷり浸かっているのではないかと改めて気づかせてくれました。
『天才作家の妻 40年目の真実』
ノーベル賞受賞を機に夫と陰で支えてきた妻の関係が崩れていく。本作でグレン・クローズはゴールデングローブ賞の主演女優賞獲得。
2017/スウェーデン、アメリカ、イギリス合作
監督:ビョルン・ルンゲ
出演:グレン・クローズ、ジョナサン・プライス、クリスチャン・スレーターほか
配給:松竹
新宿ピカデリーほか全国公開中