役者・滝藤賢一が毎月、心震えた映画を紹介。超メジャー大作から知られざる名作まで、見逃してしまいそうなシーンにも、役者のそして映画のプロたちの仕事はある! 役者の目線で観れば、映画はもっと楽しい!!
今、伊賀が熱い! 伊賀牛、かたやきせんべい、 そして伊賀忍者!
中村義洋監督の新作が封切られるとあって、すぐに試写に向かいました。どんな人にも、キャリアを築くうえで、次の段階へと背中を押してくれる人との出会いがあると思いますが、滝藤にとっては中村監督がまさにそのひとり。『フィッシュストーリー』に始まり、『ゴールデンスランバー』『予告犯』、そして『残穢(ざんえ)』。もしかして、次は主役? なんて心待ちにしていたのですが、『忍びの国』、お声すらかかりませんでした......。とはいえ、私の俳優人生にとって中村監督の存在は欠かせないのであります。
本作は、織田信長の息子の信雄が伊賀に大軍で攻め入り、負けてしまった、"天正伊賀の乱"という史実に基づく物語。
大野 智さん演じる伊賀の忍び・無門(むもん)。私、軽い気持ちで観始めたら、この主人公オープニングでいきなりメインキャストを殺してしまう......。このシーンだけで、この物語での忍びの在り方、無門の冷徹さを観客に提示するとは、出鼻をくじかれました。しかし、無感情に殺し合いをしているなかでも、ユーモアがしっかり描かれているところが、さすが中村監督。そして、一対一で殺し合う「川」というアクロバティックな戦いが凄まじく、圧巻!
私も数年前から身体を鍛え、40歳にしては、ええ肉体をしとると思うんですが、さすがにこんなことはできません。どれだけ稽古を積めば、あんなことができるんだ......。
そして何をかくそう実は私も時代劇、やるんです。原田眞人監督の『関ヶ原』。豊臣秀吉役です。ふふ。完成版を観ましたが、あまりのスケールのでかさに唸りました!
奇しくも『忍びの国』も『関ヶ原』も、同じ伊賀忍者が暗躍する作品。前者は、金のためならどんな武将にもつくという、ドライで無法者な忍者像になっているのに対し、後者は雇い主への義を重んじる集団。是非、両作品観比べて頂きたい!!
余談ですが、私最近、乗馬にドハマりしております。私もいつか野を駆ける武将役を......。関係者の皆様、ご連絡をお待ちしております(笑)。
『忍びの国』
2017年/日本
監督:中村義洋
出演:大野 智、石原さとみ、鈴木亮平ほか
配給:東宝
7月1日より全国東宝系にて公開