EV時代到来と言われてはや数年、世界中で電気自動車の普及が急ピッチに進められている。しかし充電設備などインフラはとても十分とはいえない状況にある。そして何より電気自動車そのものが高額なものばかりだ。そんな中にあって、2030年までに電気自動車のみの自動車ブランドになると宣言したのがボルボ。かつては類い希な安全性で、近年は北欧テイストのデザインで一世を風靡した北欧の自動車メーカーは、早くも次なるステップ「電動化」に向けて歩み出している。
選ぶのが悩ましくなるほど豊富で魅力的
世界中の自動車ブランドが昨今、自らの未来戦略を大いに語り始めている。そのド真ん中にあるのはもちろん電動化であり、そのさきの脱内燃機関、カーボンニュートラル、そしてカーボンフリーへの道のりだ。
プロセスの程度によって2025年や2030年、2050年といった明確な目標達成の“〆切”まで掲げられた。そこに自動運転やコネクテッド、シェアリングなども加わって、未来のクルマ話は相当に今、騒々しい。
最近ではクルマ趣味人の間でも、「もうガソリン車は乗れなくなるの?」とか、「もうエンジンは無くなるんだよね」などと、先行きに不満や不安を滲ませた声が行き交い始めるようになった。けれどもそんな時にはこう答えることにしている。
選択肢の多さをシンプルに楽しんでほしい、と。
様々なパワートレーンのクルマをライフスタイルに合わせて選ぶことのできる時代に生まれた私たちはとても幸せじゃないか。選ぶのは悩ましいかもしれないけれど。
ボルボの野心がみえる電気自動車時代
どのブランドでも未来を語る姿だけは意気軒昂でやる気も満々だ。けれども具体性に欠けた話だって多い。ところが北欧の雄、ボルボは違う。
先だって自動車メーカーの中でも最も具体的で野心的なプランを発表したばかり。2030年までに電気自動車(EV)のみのプレミアムブランドになるという、以前の発表を実現するための具体的なプランが遂に明らかとなった。
その内容をかいつまんでいうと、こうだ。
ボルボは2030年までの完全な電気自動車メーカー化に向けて、段階的にハイブリッド車を含むエンジンを搭載したクルマに替わる電気自動車(EV)の販売率を高めていく。日本国内においても2025年に35%、そして2030年に100%の電気自動車(EV)販売を目指すというものだ。
同時に、グーグルやルミナー、エヌビディア、ノースボルトといった今世界的に注目されている最先端の企業とがっちりタッグを組んで、自社製の自動車用OSを搭載した新世代の電動ボルボを開発していく、である。その具体的な姿として全く新しいフラッグシップSUVのEV「コンセプト・リチャージ」というコンセプトカーも披露された。
それが、2040年までにクライメイト・ニュートラル(二酸化炭素を出さない社会)を実現するためにボルボが選んだ道のりだ。
ボルボ躍進のキーワードはプラグインハイブリッド
つまりボルボは近い将来、プレミアムな電気自動車におけるリーディングカンパニーになるという野心を抱いていると言っていい。
そのボルボにしてみたところで、2025年までに自社製EVの割合は半分にとどまると言っている。逆にいうと残りの半分はEVではない。では、それは何か。現時点で最良の選択肢というべきプラグインハイブリッド車である。
ボルボでは現在、XC40やXC60といった人気のSUVを含む全てのラインナップモデルに“リチャージ”という名称のハイブリッドモデルを用意しており、充電可能で電動走行ができるハイブリッド車であることから特にPHEVにカテゴライズされている。
近い将来において100%の電気自動車化を目指すボルボは、なぜ現在、PHEVというモデルの拡大を図っているのか。それは電気自動車に至るうえでベストな選択といえるからだ。
後編では、全モデルにPHEVをラインナップするボルボを例にとって、電気自動車の普及を見据えた今、PHEVを選択する理由とその魅力を解説したい。
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ボルボ・カスタマーセンター TEL:0120-55-8500