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2020.09.22

フィナーレを迎えるアウディ「TTロードスター」の魅力を心地よい秋に堪能する【クルマの教養】

歴史ある名車の“今”と“昔”、自動車ブランド最新事情、いま手に入るべきこだわりのクルマ、名作映画を彩る名車etc……。国産車から輸入車まで、軽自動車からスーパーカーまで幅広く取材を行う自動車ライター・大音安弘が、さまざまな角度から“クルマの教養”を伝授する!

クルマの教養

年内で生産を終了

いよいよ天気も秋らしくなり、いよいよオープンカー・シーズンの幕開けである。夏と海、そしてオープンカーなんて組み合わせは、あまりにも暑すぎて物語の中だけのお話だ。春先も素晴らしいが、ベストなタイミングは、満開の桜のように一瞬のこと。実際には、日差しが穏やかで、気温の低い季節がメイン。だからこそ、寒くなるこれからがベストなのだ。最近のオープンカーは、風の巻き込みも抑えることができ、シートヒーターなどの暖房機能も充実。それでも寒ければ、着込めば良い。とはいえ、軽装で外の空気も楽しむなら、秋口も春先に負けないくらい心地よい。

その相棒に選んだのが、アウディ「TTロードスター」だ。アウディのスペシャルティクーペ「TTクーペ」のオープン仕様だが、なんと年内で生産を終了。その歴史に幕を閉じることになる。今年7月には、ファンへの感謝を込めた最終限定車「TTロードスター ファイナルエディション」をリリース。この限定車は、原点といえる初代アウディTTロードスターのコンセプトカー「アウディTTSコンセプト」をモチーフとした仕様が与えられている。

クルマの教養

この「TTSコンセプト」は日本と縁のあるモデルで、1999年の東京モーターショーでワールドプレミアが実施されている。まさに日本は、第2の故郷ともいえる。 そして「TTロードスター ファイナルエディション」は、フィナーレを飾るべく日本法人が独自企画したものなのだ。そのニュースを耳にしたこともあり、最後のお別れドライブへと連れ出した。

初代TTは、ユニークなデザインが特徴のコンパクトなスペシャルティカーだった。そのデザインは、初代のダイハツ・コペンにも影響を与えたといわれている。現行型は、2015年8月に日本上陸を果たした3代目で、初代と比べるとサイズも一回り以上大きくなり、スポーツカーらしいアグレッシブなスタイリングが与えられている。そのため、車内もかなり広々しているが、それでもクーペの後席がエマージェンシーとなる伝統は継承。スペシャルティらしく、あくまで美しいスタリングが優先なのだ。もっともロードスターは、初代から2シーターを貫いてきた分、キャビンスペースの拡大は、素直に使い勝手の向上と歓迎できる。

クルマの教養

現行型TTで最も話題となったのは、「バーチャルコクピット」だ。これは、TTが初採用となる多彩な表示を可能としたフル液晶デジタルメーターだが、大胆にも、全ての情報表示をメーターパネルに集約することで、センターディスプレイを省略。スポーツカーに相応しいドライバー中心のコクピットを実現し、その未来的なスタイルが注目された。現在は、アウディ全車にバーチャルコクピットが採用され、アウディの先進性を示すアイコンのひとつとなっている。

試乗車は、眩しいベガスイエローを纏った「TTロードスター 45TFSIクワトロ」で、230ps/370Nmを発揮する2.0L直列4気筒ターボエンジンに4WDシステム「クワトロ」を組み合わせたもの。電動ソフトトップは、50km/h以下なら、走行中も開閉可能で、たった10秒以内で動作を終えてくれる。

クルマの教養

キャビンは、シート間にもゆとりがあり、広々。これはダッシュボード上のモニターを省いたことでの視覚的効果も大きい。ただ表示系がメーターパネルだけでは、物足りないのではと思ったが、その点も十分に踏まえ、バーチャルコクピットは、作り込まれている。

多彩な表示機能に加え、いかなる表示状況でも、コンパクトなスピードメーターとタコメーターが表示されるので、直感的に理解できる。またセンターディスプレイレスとなったことで、前方視界も良くなり、何よりもドライバーの視線移動が減るので、安全運転に繋がる。まさに、その発想こそ発明だった。他の実用的なアウディのバーチャルコクピットには、流石にセンターディスプレイが与えられるが、フラッグシップシップスポーツ「R8」は、しっかりとTTのコンセプトが継承されている。

クルマの教養

ソフトトップを開放し、郊外へ。目に映る景色が広がり、自然の風も感じられるようになるオープンならではの開放感は、やはり癖になる。TTロードスターでは、車内への空気の流れもしっかりとコントロールされ、より流入を抑えたいときは、電動格納式「ウインドブロッカー」が活躍する。まだ日中だと気温も高いため、エアコンを活用。ウインドブロッカーで、外に抜ける風を調整すれば、エアコンの冷気もしっかりと感じられるので、かなり快適だ。意外とトランク容量もあるので、カップルでも不満を感じることは少ないはず。意外とデキるやつなのだ。

もちろん、走りも申し分ない。パワフルなターボエンジンとアウディご自慢の4WD「クワトロ」、高剛性ボディの相乗効果も有り、高速クルージングでの乗り心地も上々。もちろん、ワインディングに連れ出せば、身軽な動きを見せ、コーナーでは切れ味の良い走りが楽しめる。4WDによる安定感と軽快な走りがTTの美徳。決して、雰囲気重視のモデルではなく、スポーツカーに仕立てられている。乗れば乗るほどTTとの一体感が生まれ、ちょっと離れたくなくなった。

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いよいよフィナーレを迎えるTTロードスターだが、TTクーペは、もうしばらく生産が継続される。しかし、現行型で終了となることには変わりはない。その工場では、新たに電動車の生産が始まるという。これも時代の流れである。

今は、多様性のあるモデルばかりが人気で、スポーツカーやオープンカーの肩身が狭い。やはり、クルマも八方美人でなければならないのか。しかし、ストイックであるが故、感じられる魅力もある。去りゆくTTロードスターによって、そんな想いを強くした。

TEXT=大音安弘

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