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2022.03.19

日本初個展が開催に! 過酷な現実を撮り続ける写真家・ジェーン エヴリン アトウッドが写し出す人間愛

東京・銀座のシャネル・ネクサス・ホールで、2022年3月30日(水)〜5月8日(日)に「Soul ジェーン エヴリン アトウッド展」が開催される。本展は、第1回ユージン スミス賞やライカ社のオスカー バルナック アワード、アルフレッド アイゼンスタット賞などを受賞してきた写真家であるアトウッドによる、日本初の個展。

La Place de la Contrascarpe, Paris, France, 1983 © Jane Evelyn Atwood

被写体に対する飽くなき探究の軌跡

ニューヨークに生まれ、学生時代にダイアン アーバスの展覧会を観て、社会の周縁にいる人たちのポートレイトと、その作品が心に訴え続ける力に感銘を受けたジェーン エヴリン アトウッド。

1971年からパリを拠点に自身の強い好奇心から作品を生み出してきた。自らが直面する苦難に向き合い、生き抜いていく人間の姿に魅せられ、そして同時に、社会における排除/排他という概念に興味を抱き、多くの人がその存在を知らない、もしくは見て見ぬふりをしている世界に入り込んでいく。

’76年、アトウッドはパリの路上に立つ娼婦たちの姿を、彼女の初めてのシリーズとして撮影し始める。そして'80年、この娼婦たちの写真と、当時撮影を始めたばかりだった盲目の子どものシリーズが評価され、第1回ユージン スミス賞を受賞。その後もエイズ患者の密着取材、10年間にもおよんだ女囚たちの撮影、4年間を費やした地雷犠牲者の調査など、被写体を深く理解するために、何ヶ月も、時には何年もの間、対象と時間を共にする極めて私的で情熱的なアプローチでそれぞれのプロジェクトに没頭した。

「写真を撮ったところで何の役にも立たない、と時に思うこともあります。 それでも、とにかくやらなければならないのです」──ジェーン エヴリン アトウッド

Blind series,Saint Mandé、France,1980 © Jane Evelyn Atwood

彼女が、過酷な現実をそのカメラで捉え生み出したイメージは、直接的でありながらも繊細で、冷酷さや搾取的な印象を与えることはない。悲惨で忌わしくさえあったであろうその閉じられた世界で、アトウッドは非凡な感性と、被写体に対する思いやりを作品によって示す。彼女にとって写真とは、自らの感情をストレートに表現するための手段だった。

日本で初めての個展となる本展では、アトウッドの代表的なシリーズから厳選した作品の数々や、報道カメラマンとしての仕事などを紹介しながら、彼女の被写体に対する飽くなき探究の軌跡を観ることができる。展示は、作家の希望により、シリーズ別や年代順といった従来の展示構成は行っていない。それでも、アトウッドの作品が、被写体のジェスチャーや表情、イメージの中の光と影、あるいは親密な感情と魂「Soul」で、それぞれがつながっていることを感じられるはず。

Soul ジェーン エヴリン アトウッド展
会期:2022年3月30日(水)〜5月8日(日) ※会期中無休、入場無料、予約不要
開館時間:11:00〜19:00 (最終入場18:30)
主催:シャネル合同会社
会場:シャネル・ネクサス・ホール
住所:東京都中央区銀座3-5-3 シャネル銀座ビルディング4F
シャネル・ネクサス・ホール事務局 Tel:03-6386-3071
詳しくはこちら

ジェーン エヴリン アトウッド
1947年ニューヨーク生まれ。'71年からパリ在住。デビュー作となったパリの路上に立つ娼婦たちを捉えた作品をはじめ、各国の盲学校、フランス外人部隊のレポルタージュ、地雷犠牲者の調査など、数々のプロジェクトを撮りおろし、現在も精力的に活動している。彼女はまた報道カメラマンとして、'95年の阪神淡路大震災、2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ、'04年のアメリカ民主党全国大会などの取材も行っている。これまでに13冊の作品集が刊行されており、その中には権威あるPhotoPocheコレクションに収録されているモノグラフや、10年の歳月をかけて欧州、東欧、米国の40の刑務所や拘置所で取材を重ね、収監された女性に関する資料として今もなお失われることのない価値を持つ『Too Much Time: in Women Prison』などがある。アトウッドは第1回ユージン スミス賞やライカ社のオスカー バルナック アワード、アルフレッド アイゼンスタット賞など、権威ある国際的な賞を受賞している。

TEXT=ゲーテ編集部

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