いいお店にはいいお客あり! レストランと素敵な関係を築くための、当たり前といえば当たり前だが、意外と守られていないお作法を改めてお勉強。【シン・男の流儀】
キャンセルは誠意を持って速やかに
海外に比べて事前決済システムを取り入れるレストランがまだまだ少ないなかで店が頭を悩ませているのがキャンセル問題。特にコロナ禍は体調不良などの理由で予約時間の直前にキャンセルが入る場合もめずらしくなく、金銭面だけではなく、フードロスの観点から深刻さを訴える店も。体調がすぐれないなかで無理をして出かける必要はないが、やむを得ない事情で直近にキャンセルをしなくてはならない場合は、店側にひと言伝えてから親しい人に代理をお願いするなど誠意のある行動を心がけたい。もちろん、理由なき当日ドタキャンは言語道断。人数変更があった場合なども、できるだけ早めに店に伝えるのが大人として最低限のマナー。
予約電話は営業時間外に簡潔に
最近はネット予約を導入する店も増えているが、ついやってしまいがちなのが、営業時間内の電話。シェフがひとりで店を切り盛りするワンオペ店も増えているので、予約の電話をする時間帯にもできるだけ気を配りたいもの。ランチ営業をしている店であれば、15時から夜の営業が始まる前までの間が比較的、電話に出やすいという声が多数。アレルギーや苦手な食材がある場合、ワインの持ちこみの相談など、店側にリクエストがある時も営業時間外のほうがゆっくり話ができるので安心だ。ビジネスと同様、レストランの予約も第一印象が肝心なので〝思いやリザーブ〞で好感度も急上昇!
バトンパス目的の予約はバッドプレイ
体調が悪い、急な仕事が入ったなどの理由であれば仕方がない時もあるが、基本的に来店時は予約した本人がいることが前提。予約困難店の席を他人に譲渡する目的で確保するのは、店側の心証もあまりよくないので避けたほうがいい。どうしてもの場合は、あらかじめ店に事情を説明をしておくのが大人のマナー。人気店のプラチナシートはビジネス上でも〝キラーカード〞になる場合があるが、店の立場に立って常識と良識のある行動を心がけたい。
写真&動画撮影は最大限の配慮を
美味しい思い出を記憶と記録に残したいと、料理や店の写真をSNSに投稿する人も多いが、撮影する前に店に許可をとるのはマスト。写真や動画を撮る時はシャッター音を小さくする、他のお客さんが写らないようにする、出された料理は早めに食べるなど最大限の配慮を。写真を撮った流れでテーブル上に携帯やカメラをそのまま置いてしまいがちだが、これも大人として避けたい行為。楽しい食事の時間を満喫するためにも、撮影はほどほどにして美しい料理を目と心に焼き付けよう。
消毒と検温はスルーしない
店に入ったら上着や鞄を預ける前にまずアルコール消毒と検温をするのがコロナ禍では常識に。汗をかくと体温が下がり、正確な数値を測りにくくなるので〝駆けこみ検温〞を避けるためにも、予約時間に余裕を持って出かけたい。セルフの場合でも手指消毒はスキップせず、きちんと検温もすることがお店や他のお客さんにとっての安心材料に。
〝香りもの〞は少量でも避けるのがベター
相手に自分を印象づけるために香水を纏(まと)うのはファッション上級者のテクニックのひとつだが、飲食店を訪れる時は控えるのがベター。鮨店やカウンターだけの店は隣席との距離感も近いため、周囲への配慮を忘れないようにしたい。また、電子タバコの喫煙を許可している店もあるが、食事中に吸う場合は店主や他のゲストにひと声かけるのも大切。バーで葉巻を吸う場合でもさり気ない相手への気遣いによってジェントル度がアップする。いつぞやのヒット曲ではないが、香りの記憶は鮮明に相手に残るため、楽しい〝空気〞をよどませることなく、好印象を残す振る舞いを心がけたい。
次回予約は小用際にさり気なく
「帰り際に次の予約を入れていただくのは嬉しい」という店も多いが、なかには「できるだけ多くの人に来ていただきたいので、来店時の予約はお断りしている」という店も。予約困難店ほど次回の席を確保したくなるのが人の性(さが)というものだが、無理強いをするのはNG。一見の場合はもちろん、贔屓の店でも〝親しき仲にも礼儀あり〞の気持ちを忘れずに。同伴者に居心地の悪い思いをさせないためにも、その場の予約が可能か知りたい時はトイレに立つついでにさり気なく店にたずねるのがスマートだ。
独善的な会話の〝ショータイム〞は男の格を下げる!
お酒が入って気分がよくなってくると、悪気はなくても〝うっかり失言〞をしてしまうことも。カウンター席は思いのほか声がよく通るので、会話の内容にも気を配りたい。自慢話や他店との比較、下ネタは百害あって一利なし。本人は面白おかしく話しているつもりでも、お店や周りの人にとっては「うっせえわ」と思われている可能性も。昔から飲食店での会話の3S(性、政治、宗教)はご法度と言われてきたが、令和の会話選びは「センス、ソーシャル、スマート」を意識して、相手に心のディスタンスを取られないように配慮しよう。
Illustration=村上テツヤ