毎年恒例のゲーテレストラン大賞「ゲーテイスト」。今回も秋元 康さん、小山薫堂さん、中田英寿さん、見城 徹の食を愛する4兄弟が集結、ここ1年のお薦めのレストラン(全52店)を教えてもらった。48店目は、 昨年のゲーテイストで「神戸の衝撃」として紹介した『御影ジュエンヌ』の大川尚宏シェフの長男、武士シェフが2016年に開いた店。
受け継がれ、競い合う才能を見守るのが楽しみ
――神戸の名店『御影ジュエンヌ』で父・大川尚宏氏の下、10年の経験を積んだ武士シェフが2016年に開いた。契約農家から届く無農薬野菜や神戸ビーフ、瀬戸内の魚など地元厳選食材を見事に使いこなす技は父親譲りだ。
見城:昨年のゲーテイストで「神戸の衝撃」として紹介した『御影ジュエンヌ』の長男、武士さんのお店。もうひとりの息子さんはお父さんと仕事をしてます。
小山:父親と息子ってうまくいかないことも多いのに、兄弟揃ってお父さんの下で修業を積むって珍しいですよね。
秋元:同じようなタイプの料理なんですか?
見城:うん、そうなんだけど、お父さんの才能が次の世代に確かに受け継がれているのを見るのも嬉しいよね。こういうのもレストランの楽しみだなと、つくづく感じて心が明るくなった。
小山:いいですね。見守り続けて「お父さんを越えたね」なんて、いつか言ってあげるとか。
見城:お父さんのシグネチャーのひとつに、お皿にびっしり野菜や魚介が並ぶ花畑みたいなサラダがあってね。武士さんはオープン当初は意地でもこれはやらないって心に決めていたんだけど、お客さんから望まれることが多くて、今や定番。そうしたら、お父さんに「俺はもうやめて、次に進むよ」って言われたそうだよ。面白い話でしょ。
中田:お父さん、相当魅力的な人ですよね。
見城:炭火でじっくり焼く神戸ビーフのステーキは、お父さんは生から焼くそうだけど、武士さんはまずは表面をバターで焼いてから炭火台にのせているんだ。だから食べた時にふわっとバターが香る。どっちの方が美味しいかという問題ではなく、より美味しく、より自分らしくと工夫する気持ちが素晴らしい。