2021年も高級ウォッチブランドから続々と届く新作情報。その中から、新鮮な驚きや価格以上の満足感が味わえる"活きのいい"モデルを厳選する! 連載第51回は、ザ・シチズンの話題作「メカニカルモデル」を紹介する。
日本とスイスの文化が重なる最新鋭の機械式ムーブメント
ザ・シチズンの'21年の新作として先日発表された「メカニカルモデル」はその名からも分かるように、'10年以来の発表となった新型の機械式ムーブメントを搭載する3針モデルだ。その魅力を紐解く上で外せないのが、スイスのラ・ジュー・ペレ社との協業効果によるCal.0200の存在にある。
シチズンによる⾃社設計・⾃社組⽴にラ・ジュー・ペレ社の装飾製造技術を応用した機械式ムーブメントは、外装に勝るとも劣らない美しさが感じられる。両社のノウハウを活かした仕上げは特筆すべきものがあり、受けの上⾯にサティナージュと呼ばれるへアライン仕上げ、細部にはダイヤカットを施すなど、異なる仕上げによって独特のコントラストを演出している。
ムーブメントの性能についても触れてみよう。精密な時計製造技術から生まれたCal.0200は、クロノメーター規格を上回る平均⽇差-3~+5秒を実現。
このレベルに到達するために取り入れたのが、経時変化や衝撃に強く、⾼い時間精度とその長期にわたる持続性に適したフリースプラング⽅式のテンプである。その製造には、極めて⾼い部品加⼯精度が要求されるため、シチズンは新規にテンプの製造⼯程を開発することで諸条件をクリアした。このほかに、脱進機にはLIGA工法を⽤いて部品精度を⾼めるなど、これまで光発電エコ・ドライブ ムーブメントの部品製造で培った技術を応用している。
さらには、バンド取り付け前の完成時計状態で全数17日間に及ぶ厳しい⾃社検査を⾏い、6⽅向の姿勢、3段階の温度で設定した様々な条件下での検査に合格した証として、この時計には⾃社規格検定合格証が付属される。
表情の異なる3種類のダイヤルが揃う
ムーブメントと相互に引き立て合う優れたデザインも「メカニカルモデル」に注目が集まる理由である。ありそうでなかったスポーティなケースデザインとスモールセコンドの組み合わせはとても新鮮に映る。
この時計がシンプルな3針でありながら独特の存在感を醸し出す秘密は、インダストリアルなプロダクトであることにこだわった質感にある。ラグのない⼤胆な⾯構成の40mm径のケースは、粗⽬のヘアラインとミラーでシャープに仕上げており、その魅力はブレスレットを装着することで一段と増す。
ブランドのシンボルであるイーグルマークを配したダイヤルは、質感が異なるブラック、ブルー、ホワイトの3種類が用意されている。
電鋳(でんちゅう)の優れた再現性によって砂地模様をあしらったブラックダイヤルは、凹凸が作る陰影により、テクスチャーの味わいが楽しめる。上品なブルーダイヤルはサンレイパターンに塗膜研磨を施すことで光沢感と深みのある色合いを表現している。
一方、数量限定のホワイトダイヤルは、ブラックダイヤルと同じく電鋳を用いてきめ細やかな質感を演出。シースルーバックから覗く22Kゴールドのローターにもイーグルマークが配されている。
気になる発売は'21年8月を予定。文化の融合から生まれた趣深い3針モデルの登場が今から待ち遠しい。
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シチズンお客様時計相談室 TEL:0120-78-4807