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2023.12.19

ミュージカルはアンチエイジング! 堀江貴文が毎年「クリスマス・キャロル」で歌い踊る理由

堀江貴文氏が、実は毎年12月にミュージカルを開催、しかも主演を演じている。この事実を、まだ知らない人も多いだろう。創刊時から堀江氏の活動を追ってきた「ゲーテ」ですら、かつて一度も取材に入ったことがなかった。果たして堀江氏は、本当に歌って踊るのか、そもそもなぜミュージカルなのか。その謎を紐解きに、2023年12月6日、公演が行われるという東京キネマ倶楽部に潜入した。

堀江貴文の舞台「 クリスマス・キャロル」

なぜ堀江貴文はミュージカルに挑むのか

演目は「クリスマス・キャロル」。守銭奴で冷血感の会社経営者・スクルージがクリスマスの夜に大天使に出会い、自身の過去・現在・未来を旅することで、その考えを改めるという、クリスマスミュージカルの定番だ。堀江氏は、毎年この演目で公演を行い、2023年で6回目となる。

そもそも、堀江氏がこの公演を始めたのは、2010年のニコニコ動画が配信するミュージカル「ニコニコミュージカル クリスマス・キャロル」がきっかけ。舞台での公演の様子がニコニコ動画でリアルタイム配信され、書き込まれたコメントを劇場にいる役者や観客とも共有できるという企画だった。

「IT経営者として未曾有の成功を収めながらも、周りに疎まれる男」という堀江氏の当時のパブリックイメージを重ねた役どころがピッタリとハマり、盛況に終わったこの公演。以降、堀江氏が自らプロデュースをし、途中休止期間をはさみながらも、毎年12月に上演しているというわけだ。

「人間の筋肉でいちばん衰えが少ないのは、声帯。だから、歌やお芝居って、何歳になっても始められるんです」

幕間、舞台衣装であるサンタクロースの格好で本誌の取材に現れた堀江氏は、そう語る。

第一幕で、意外に思えるほどの美声と声量を披露した堀江氏。2010年の初演の際にボイストレーニングに通って以来、声量は衰えていないという。

堀江貴文の舞台「 クリスマス・キャロル」
俳優陣が幕間に観客たちにシャンパンを振る舞うのも本公演の醍醐味。堀江氏は、本誌のテーブルにやってきて取材に応えてくれた。

「ミュージカルをやっているのは、アンチエイジングのためでもあるんです。若い役者さんと同じ目線で交流し、同じものをつくりあげる。そういう経験って、普段なかなかないですよね。50代の僕には、どうしても20代、30代の人は近より難く感じるでしょうし、彼らと対等に話すことは難しい。でもミュージカルを通してなら、歌って踊って、若い世代に教えてもらいながら交流ができます。同じ目線になれるということが大事なんです」

あえて、ビジネスという自分の土俵から降り、ミュージカルという新しい土俵に上がってみる。そこで生まれる交流にこそ、価値があると堀江氏は考えているのだ。人はそもそも、年齢を重ねるほどに、「いかに勝負を自分の土俵に持ち込むか」を姑息に考えがちだ。けれど臆することなく、別の世界に飛び込んでいけるのが、堀江氏なのだろう。

共演者は、ミュージカル「新テニスの王子様」などに出演した2.5次元俳優の武本悠佑、元HKT48の田島芽瑠など。日頃ステージで鍛え上げているエンターテイナーたちと堀江氏は肩を並べ、堂々と歌い切る。

堀江貴文の舞台「 クリスマス・キャロル」
ミュージカル「刀剣乱舞」などでも話題の俳優・武本悠佑氏(左)が演じるのは、堀江氏演じるスクルージの若い頃。
堀江貴文の舞台「 クリスマス・キャロル」
高い歌唱力を持つ田島芽瑠氏(右)が、主人公・スクルージの運命の女性を演じる。

「プロの役者でないからって、日和(ひよ)ってなんかいませんよ。まぁ、僕の歌唱シーンは、一緒に上手な役者さんが歌って踊ってくれるので、平均するとちゃんと見えるだけだと思いますけど(笑)。いくつになっても新しいことを始めていれば、人間は衰えません。ゲーテ読者のみなさまだって、今から歌も踊りも芝居も、始めてみたっていいんですよ! この公演は、来年も再来年も、体力が許す限りは続けたいですね。サンタクロースの格好自体、年齢を重ねるごとに、似合うようになっていきますし」

ホリエモンが本当のサンタクロースになる日も近い!?

この公演では、ドン・ペリニヨンを片手に、堀江氏監修のフルコースをいただきながら観劇できるのも特徴的だ。

「僕も学生時代から演劇は観ていましたが、窮屈な椅子に座って、ちょうどディナータイムにお腹をすかせながら見るのはなんだかなぁと思っていました。だから、この公演では、食事とお酒をテーブルで楽しみながら観てもらえるようにしています。そもそも16世紀のシェークスピアの時代、貴族はテラス席でフルコースを食べ、ワインを飲みながら演劇を観ていたんですよ。歌舞伎だって、幕間に幕内弁当を食べられるわけです。それと同じことですよ」

今回は、東京・木場の人気イタリアン「commedia」の山口大輔シェフが監修、キャビアとうにが添えられたブッラータチーズ、ポルケッタのパイ包みなど、この日のために考案された特別コースをいただける。

さらに宮迫博之氏、DJ社長、TKO、鈴木おさむ氏、電撃ネットワーク南部虎弾氏など、公演ごとにスペシャルゲストが登場するのも見どころだ。ディナーと、ゲスト&堀江氏とのコラボを目当てに、毎年ビジネスパーソンも多く訪れるという。

「テーブルにつくと、ゲスト同士『久しぶり!』なんて再会もあって、結婚式に呼ばれたような感覚になるそうです(笑)。世の中の多くの演劇公演が、女性客をターゲットにしているけれど、ここは演劇好きの女性だけではない、社交の場としても使われていますね。舞台演出も派手にして、なにより脚本がとっても面白いですから、公演終了後の配信でも、ぜひ楽しんでほしいと思います」

そう語って、サンタクロース姿の堀江氏は、再びステージに上がるために席を立つ。と同時に、「日本のサンタクロースポジションは狙いたいですね」といたずらっぽく笑った。

この日のゲストは、グリーンランド国際サンタクロース協会公認サンタクロースのパラダイス山元氏。サンタクロースになるには「現在結婚していて子供がいること」「体重120kg以上」が条件だが、山元氏は「この条件には当てはまらずとも、堀江さんにもぜひ、サンタになるべく国際試験を受けてほしい。推薦したい」と舞台上で公言した。

堀江貴文の舞台「 クリスマス・キャロル」
サンタクロースの生まれた国、グリーンランドの公認サンタクロースであるパラダイス山元氏も、舞台の上に登場。

2023年の見所はレーザー&プロジェクションマッピングの演出

「クリスマス・キャロル」という同じ演目をやり続けるからこそ、その完成度をより高めていけると考えている堀江氏。2023年の公演では、プロジェクションマッピング、レーザー光線など、例年よりパワーアップした華やかな演出を見どころにした。

VIP席である2階席からは、床面に投影されたプロジェクションマッピングがはっきりと見え、1階席で見るのとはまた違った光景が楽しめる。オンライン配信では、この演出もしっかり見えるため、当日1階席で見ていた、という人もぜひ、もう一度本公演を堪能してほしい。また、今回の公演のために新曲も3曲書き下ろされ、堀江氏の「クリスマス・キャロル」は今後も年々進化させていく予定だという。

堀江氏が「本当のサンタクロース」になる日は来るのだろうか。そう思いながら見つめた第二幕、そこには第一幕以上の盛り上がりが待っていたーー。観客を喜ばせるため、必死で歌い踊る堀江氏のホスピタリティ、そして物語の結末をオンライン配信でチェックしてほしい。

ミュージカルクリスマス・キャロル2023」オンライン配信
原作:チャールズ・ディケンズ
脚本・演出・作詞・音楽:湯澤幸一郎
プロデューサー:堀江貴文
出演:堀江貴文、田島芽瑠、武本悠佑、湯澤幸一郎、横山智佐 ほか
ゲスト:パラダイス山元
配信チケット料金:¥3,500
配信期間:2023年12月20日~2024年1月21日

TEXT=安井桃子

PHOTOGRAPH= YOSHIHITO KOBA

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