限界を知らない男、モノ、コト――過剰なモノを愛し続けたゲーテ編集部が贈る特集「最上級事典2023」。妥協を知らないゲーテ流の最上級とは何か。“2022年の顔”として人気・実力ともに勢いを増す間宮祥太朗に話を聞いた。【特集 最上級事典2023】
唯一無二と言われることが最上級の人生への道筋に
世界的なパンデミックの波が引ききらないとはいえ、劇場や製作の現場に人が戻り、例年に増して良作が溢れた2022年。俳優・間宮祥太朗は年頭から3クール続けて出演した連続ドラマのうち1本は主演を務め、さらには名作文学の映画化作品でも主演。さらに12月には舞台出演と、獅子奮迅ともいえる活躍をみせた。秋には“2022年の顔”として複数の媒体から選出されるなど、人気・実力ともに勢いが増すばかりだが、フォトセッションを終えインタビューの席についた彼の語り口は拍子抜けするほど穏やか。演じる役柄の振り幅の大きさに比べ「素の本人はいたってフラット」と周りの関係者がこう評するのも、なるほどと頷ける。
「“今年の顔”と言っていただけるのは本当にありがたいこと。今後は『あの頃が一番よかった』と言われないように、失速せずに頑張らないといけないですね。僕は“ネクストブレイク”と言われた時期が長かったですから、一喜一憂することなく、平常心を保ち続けていきたいです」
15歳で俳優デビュー。’18年にNHK連続テレビ小説『半分、青い。』でヒロインの夫役を好演し全国的な知名度を得てからは、多くの話題作に出演。端正なルックスと恵まれたスタイルで、ナイーブな青年から破滅的な悪人までを難なく演じてみせる懐の深さが、俳優としての間宮の強みでもある。’23年2月公開のアニメ映画『BLUE GIANT』では声優に挑戦し、G.W.と夏に公開される映画『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編』では前作での怪演が話題となった役を続投。話題作への出演がまだまだ続く’23年は、俳優としてのレイヤーが一段と厚みを増すであろうことも想像に難くない。
発見や気づきを得ながら平常心で歩みをすすめたい
「アニメの吹き替えは不思議な感覚で、演じる間合いやリズムが実写とはまったく違いました。相手が発したセリフを自分の心に入れて、そのリアクションとしてセリフを発すると確実に遅い。キャッチボールが早くて、咀嚼する時間があまりないのも新しい発見でした。『東京リベンジャーズ』は、1作目が他の出演者との絡みが少なかったので、今回初めて大乱闘のシーンで大人数のなかで演ってみて、改めて面白いなと。ただ、共演者に年下が多くなってきたので、自分もついに上の世代になってきたかと月日を感じましたね」
演じる役柄のコントラストの強弱にも気負うことのない演技巧者は、来年30歳の節目を迎える。順風満帆ばかりではなかったキャリアを経て、俳優としてはもちろん人間的にも成長したと語る彼にとって“最上級の俳優人生とは何か”を問うてみた。
「今回の舞台で感じたのは、共演させていただく方々から立ち昇る唯一無二の存在感です。元来、役というのは誰が演ってもいいものだけれど、その方の持つ雰囲気や居方が加わることで誰にも真似できないものができあがる。自分も同世代の俳優が多くいるなかで没個性にならないようにやってきたつもりですが、30代はそれよりもさらに前に、間宮祥太朗でしか感じられない唯一無二な雰囲気を作りあげていきたいですね。もちろん俳優として在る前にひとりの人間ですし、身体やメンタルが健康であっての仕事です。自分のなかでの調律も上手く保つことができてこそ、最上級の人生に向かっていけるような気がします」
力みすぎることなく安寧でいられることこそが、最上級の人生への近道だと語る間宮祥太朗。「そんなにストイックじゃないですしね」とさらりと笑ってみせる彼の今後に期待したい。
Shotaro Mamiya
1993年神奈川県生まれ。2008年に俳優デビューし、以後、映画、ドラマ、バラエティなどに数多く出演。2022年は『ナンバMG5』のほか4本のドラマに出演。約60年ぶりに映画化された島崎藤村作『破戒』では主演も果たした。
『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編―運命―』
『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編―決戦―』
日本中を熱狂させた『東京リベンジャーズ』 が、間宮が演じるキサキを含めた最強キャストを再集結させ、新エピソード2部作を2023年G.W.と夏に連続公開。詳細はこちら。
『BLUE GIANT』
世界的なサックスプレイヤーを目指す人気コミックをアニメで映画化した『BLUE GIANT』は2023年2月17日公開。間宮はピアニスト沢辺の声を演じる。