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2022.10.20

【オカダ・カズチカ】新日本プロレス入門希望者に伝えたいこと

旗揚げ50周年を迎えた新日本プロレスが行っている入門希望者募集は、年齢不問、身長不問、経験不問。男性ならば誰もが応募でき、しかも入門テストまで、あのオカダ・カズチカが指導する。どんな人に応募してほしいか、オカダにインタビューした。

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世界チャンピオンになれるチャンス!

旗揚げ50周年を記念した新日本プロレスの入門希望者募集が話題を集めている。

・年齢不問
・身長不問
・経験不問

男性ならば、誰もが応募できるのだ。しかも、エースのオカダ・カズチカが直接指導し、入門テストまでのプロセスを2023年にテレビ地上波で放送するという。

「年齢や身長は制限しません。入門まで僕がしっかりと指導します。ただし、練習が厳しいことは覚悟してください。テレビカメラが入っているから、という理由でやさしくすることは一切ありません」

そう明言しているオカダに、今回の入門希望者募集の詳細を聞いた。

「次世代のスターの育成は僕がずっと考えていたことで、会社にも提案してきました。棚橋(弘至)さんを破って、僕が新日本プロレスのトップの象徴であるIWGPヘビーのチャンピオンベルトを初めて腰に巻いたのは2012年。もう10年も前になります。あれから新しいスターは生まれていません。オカダ・カズチカという選手としての僕は、常にトップであり続ける気持ちです。でも、新日本プロレスの一員としての僕は、新しい才能を育てなくてはいけないと思い続けてきました。若い新しいスターが生まれないと、若い世代のお客さんも増えません。プロレス界も活性化されません。若い選手がどんどん増え、どんどん強くなって、新日本プロレスを盛り上げていってほしい。でも、どんな選手が来ても僕が倒しますけどね」

今回はなぜ、年齢不問、身長不問、経験不問にしたのか――。

「今の新日本プロレスの選手たちは最強だと思っています。ただ気になっていることはある。スタイルが画一化しているというか、個性が似ているように感じるんですよ。若い世代はもっと自由に闘ってほしい。だから、今回の公募では年齢も体格も問いません」

オカダ自身は15歳でプロレス界に入り、3年半メキシコで闘ってから新日本プロレスに移籍している。

「僕はメキシコを経験してよかったです。ほかの選手とキャリアが異なることで、幅広いレスリングを展開できるようになりました。そういう僕が指導することによって、様々なプロレスラーが育つはずです」

若いうちにプロレスを始めたことで、オカダはどんなアドバンテージを感じているのか。

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「なによりもいいのは、長くプロレスを続けられることでしょうね。26歳のときにはすでにキャリア10年の選手ですから。僕はメキシコでも最年少、19歳で新日本に入った時も一番下でした。全員が先輩だったので、みんなに目をかけていただきました。スタート時、体力的には劣っていましたけれど、周囲に励まされて努力を続けることができた。ちょっと甘えが出てしまった反省はありますけれど。その一方で、年齢を重ねて入門した人たちからは、僕たちとはまた違った熱意を感じました。それまでやっていた仕事をやめ、あるいは学校をやめてプロレスを選んだからには、かなりの覚悟があったはずです。家族がいても、プロレスラーになる夢をあきらめず道場に入り、寮で生活する人たちならではの逞しさはあります。新日本プロレスは年功序列ではありません。入門順です。若くても、1日でも早く入門すれば、先輩になります。10代でも、20代でも、あるいは30代でも、どの世代でも、その年齢だからこそのアドバンテージはあります」

かつてプロレス界には、さまざまなサイズの選手がいた。

「今は逞しい筋肉に身を包んでいる選手が主ですが、ひと昔前のプロレスには、巨大な選手も、小柄でスピードのある選手もいました。佐山聡さん(初代タイガーマスク)やライガーさん(獣神サンダー・ライガー)は180センチなくても、大スターになっています。さらには、お腹の出た選手や身体がなまったように見える選手もいたと思います。でも、強ければいい。お客さんが1枚のチケットで様々なタイプのプロレスが観られる団体にもしたいですね」

経験を問わないことによって、バリエーション豊かな人材が集まることも期待している。

「プロレス界はずっと、レスリング、柔道、相撲など格闘技出身が主流でした。でも、球技や体操など、格闘技系以外の人にも挑戦してほしい。体操出身ならば、高い打点のキックができるはずです。ダンス出身の人は関節がやわらかいし、反射神経にもすぐれているはずです。もっといえば、格闘技経験がなくてもいい。技術を素直に吸収できるはずです。僕自身15歳でプロレスを始めるまで、格闘技経験はありませんでした。それでも、今トップを張っています。オレが新日本プロレスを変えてやる! という強い意志を持つ人に挑戦してほしいですね」

団体のトップであるオカダは、自分が指導することに大きな意味を感じている。

「新日本プロレスのトップの象徴、IWGPヘビー、IWGP世界ヘビーのチャンピオンベルトを巻いている僕だからこそ、キャリアのスタート時からトップになるための技術や心構えを伝えられます。僕が若手のころの新日本には中邑真輔さんがいて、当時はバリバリのトップをはっていました。中邑さんを身近で見ることで、多くのことを学べたと思っています。僕が初めてチャンピオンになった2012年のときも、緊張のほぐし方をはじめビッグマッチに臨むためのアドバイスをいただきました。トップの気持ちは、トップの経験がなければわかりません」

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具体的に、オカダは入門希望者に対しどんなトレーニングを課すのか――。

「まずは基礎です。稽古を続けられる体力を養い、けがをしない身体を徹底的につくります。スクワットやプッシュアップはもちろん、身体でブリッジをつくって自重を支え、首も鍛えます。僕自身、メキシコで闘っていた10代のころに、徹底的に受け身を練習しました。メキシコのマットは硬くてけがをしやすいんですよ。キャリアのスタートで様々な受け身をとれるようになったからこそ、今もけがをせず、思い切った闘いができます。基礎トレーニングをみっちりやる。それは覚悟しておいてほしい」

新日イズムの継承も、オカダは強く意識している。

「高い技術の習得はもちろん大切ですが、強い気持ちをもって闘ってほしい。新日本プロレスには、50年前に猪木さんが旗揚げしたときから脈々と受け継がれてきたスピリットがあります。そして、格闘技でありながら、情緒もある。怒りや哀愁があるからこそ、猪木さんのプロレスには、大会場に集まったお客さんも、テレビを観ている日本中の人たちも魅了された。そんな新日イズムを僕が10代、20代で闘ったライガーさん、永田(裕志)さん、金本(浩二)さんも持っていました。あの人たちは打撃やひとつひとつの技にも、気持ちが入っていた。常に怒りがあったんですよ。相手がキャリアのない若手でも容赦しません。“ヤングライオン”と言われた若手時代、とくに金本さんにはボコボコにされました。油断したらつぶされる――と思って僕は闘っていました。先輩たちのあの新日イズムはしっかりと伝えていきたい。今回入門する人たちも、強く意識してほしいですね」

新日本プロレスは今、海外での試合も積極的に行っている。

「海外で興行を開催したり、他団体に参戦することもあります。世界を舞台に闘えることは新日本プロレスに入門する大きな魅力だと思います。新日本プロレスほど激しく闘う団体は、海外にもありません。それが今では世界中に浸透していて、新日本プロレスはしっかりとブランド化されています」

ニューヨークの西33丁目にある“スポーツの殿堂”マディソン・スクエア・ガーデンで開催した大会は16,000席のチケットが発売即完売。興行として成功を収めている。この10月にはロンドン大会を行った。

「猪木さんが亡くなられた10月1日は、ロンドンのクリスタル・パレス・ナショナルスポーツセンターでの大会でした。選手では棚橋さんと僕がリングに上がり、リングアナウンサーが新日本プロレス創設者である猪木さんの逝去を伝えて、追悼の10カウントゴングを鳴らしました。すると、イギリス人でいっぱいの客席から盛大なイノキコールが起きた。10カウントの慣習のないイギリスの人たちも、新日本プロレスのレジェンドをリスペクトしてくれている。嬉しかったですね」

新日本プロレスに入門するということは、世界を舞台に闘うこと。そして、プロレスの伝統や歴史と闘うことなのだ。

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オカダ・カズチカ
1987年愛知県安城市生まれ。15歳のときにウルティモ・ドラゴンが校長を務める闘龍門に入門。16歳でデビューを果たす。2007年、新日本プロレスに移籍。2012年に凱旋帰国すると、プロレス界にカネの雨を降らせる男・レインメーカーとして活躍。2022年はIWGP世界ヘビー級戴冠、またG1 CLIMAX 4度目の制覇を成し遂げる。得意技は打点の高いドロップキック、脱出困難なマネークリップ、一撃必殺のレインメーカー。著書に『「リング」に立つための基本作法』がある。

募集要項
条件:年齢・身長制限なし・男性のみ
期間:2022年9月28日(水)〜10月21日(金)23:59
方法:応募フォームすべての必須項目を記入し受付
※厳正な精査のうえ、合格者には2022年10月末までにスタッフより連絡します

応募フォームはこちらから

TEXT=神舘和典

PHOTOGRAPH=筒井義昭

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