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2022.09.29

大会を途中棄権した元女王・大坂なおみに今、何が起きているのか

2022年9月25日に閉幕した女子テニスの東レ・パンパシフィック・オープン。連覇を懸かる母国開催の大会で大坂なおみの復活を期待していたが、予期せぬ結末を迎えた。連載「アスリート・サバイブル」とは……

東レ・パンパシフィック・オープン2022の会見での大坂なおみ。

東レ・パンパシフィック・オープン会見時の大坂なおみ。

不調で終わったハードコートシーズン

プレー時間はわずか7分。絶不調だった今夏のハードコートシーズンは、予期せぬ結末を迎えた。2022年9月25日に閉幕した女子テニスの東レ・パンパシフィック・オープン(以降、東レPPO)。女子シングルスの前回’19年大会覇者で世界ランキング48位の大坂なおみ(24歳・フリー)は、あっけなく大会を去った。

大坂は大会第4日の9月22日午後5時30分以降に予定されていた世界16位のベアトリス・アダドマイア(26歳・ブラジル)との2回戦を棄権。大会主催者は棄権理由を「腹痛のため」と発表した。関係者によると、午後3時30分から直前練習を行う予定だったが、正午前に代理人をとおして棄権の連絡が入ったという。

大坂は主催者を通じ「今日は出場することができず、本当に申し訳ありません。これまでも、これからも、東レPPOは私にとって特別な大会です。今日もコートに立ちたかったのですが、体が許してくれません。今週はたくさんの応援をありがとうございました。また来年お会いしましょう」とコメントした。

大会2日目の1回戦は世界55位のダリア・サビル(28歳・オーストラリア)と対戦。第1セットを1-0で迎えた第2ゲームで相手が左膝を痛めて途中棄権したため、2回戦に進出した。試合時間は7分。アクシデント直後には相手に駆け寄ってタオルをかける気遣いも見せていた。

試合後の会見では「とても怖いシーンだった。私も悲しい。私も今年の大半は怪我をしていたので彼女の気持ちはよく分かる。ひどい怪我じゃないことを祈っている。正直、勝った気はしない」と神妙。今季は自身も怪我に苦しんだだけに、人ごとではなかった。

今年は5月に左アキレス腱を痛めて全仏オープン後に離脱。8月1日開幕のシリコンバレー・クラシック(米サンノゼ)で約2ヵ月ぶりにツアー復帰したが、翌週のナショナルバンク・オープン(カナダ・トロント)の1回戦で腰痛を発症して途中棄権した。4大大会最終戦の全米オープンも1回戦敗退。今夏のハードコートシーズンは東レPPOも含めて5大会に出場し、2勝5敗と厳しい結果となった。

7月には2019年から指導を受けたウィム・フィセッテ・コーチ(42歳・ベルギー)との契約を解消。現在は父・フランソワ氏をコーチにしているが、東レPPOの大会期間中の練習はトレーナー、ヒッティングパートナーとともに行い、フランソワ氏がコートに姿を現すことはなかった。

腹痛の原因は明らかにされていない。長くうつ症状に苦しんできたことを告白しているだけに、ストレスなどによる自律神経の乱れからくる精神的な問題の可能性も否定できない。大坂は棄権から3日後の9月25日、さいたまスーパーアリーナで開催されたRIZINの朝倉未来VSメイウェザーを最前列で観戦しており、深刻な症状ではなかったとみられる。くしくも同時間帯には東レPPOのシングルス決勝が行われていた。

今年5月に米経済誌フォーブスが公開したアスリート長者番付で大坂は女子最高の5920万ドル(約84億円)だった。富と名声を手にした現在は「最終目標は楽しむこと」と言い切る。近年はマネジメント会社やドキュメンタリー制作を行うメディアを設立するなどコート外でも積極的に活動しているだけに、競技に対するモチベーションが維持できるのか気掛かりだ。

大坂は開会式で聖火台への点火者を務めた昨夏の東京五輪が無観客開催だったこともあり、日本のファンの前でのプレーを心待ちにしていた。1回戦後にはファンサービスを試みたが、新型コロナウイルスの感染対策で禁止されているため、警備員に制止されて渋々コートを後にしている。

「日本のファンの皆さんに会うのは本当に久しぶりだった。多くの方にサインしてあげたいと思ったけど、できなかった。今後、何かしらの形で皆さんに返したいと思う」

4大大会通算4勝を誇り、2019年には世界ランキング1位にも就いた元女王。再びコートで輝きを放つことが、ファンへの何よりの恩返しとなるだろう。

Naomi Osaka
1997年10月16日大阪生まれ。ハイチ出身の父レオナルド・フランソワ氏の指導で3歳の時にテニスを始め、米国へ移住。2013年に15歳でプロに転向した。’18年3月のBNPパリバ・オープンでツアー初優勝。4大大会は’18年9月の全米オープンで初優勝を飾り、通算4勝。身長1m80cm、右利き。

■連載「アスリート・サバイブル」とは……
時代を自らサバイブするアスリートたちは、先の見えない日々のなかでどんな思考を抱き、行動しているのだろうか。本連載「アスリート・サバイブル」では、スポーツ界に暮らす人物の挑戦や舞台裏の姿を追う。

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TEXT=木本新也

PHOTOGRAPH=アフロ

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