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2022.04.16

レジェンド加藤条治、田臥勇太、折茂武彦の戦い──連載「コロナ禍のアスリート」

まだまだ先行きが見えない日々のなかでアスリートはどんな思考を抱き、行動しているのだろうか。スポーツ界に暮らす人物の挑戦や舞台裏の姿を追う連載「コロナ禍のアスリート」から、レジェンドたちの戦いをまとめて振り返る。※2021年、’22年掲載記事を再編

スピードスケート・加藤条治が最後まで譲れなかったもの

Photo by Naoki Morita/AFLO SPORT

全力を出し切った36歳のベテランに、惜しみない拍手が送られた。スピードスケートの北京五輪日本代表選考会が2021年12月29~31日に長野エムウェーブで開催され、男子500mに元世界記録保持者の加藤条治(36=博慈会)が出場。最終コーナーで転倒して最下位の25位に終わり、5大会連続の五輪出場の道が絶たれた。

「長い時間かけてこのレースに向けて調整してきた。結果は転んでしまったが、自分の力は出し切れた。悔いはまったくない」

最初の100mは全体4位の9秒58。9秒53で滑った'18年平昌五輪以来の高水準の入りだった。バックストレートも勢いを失わず、猛スピードで最終カーブに突入。頂点を過ぎて好タイムの期待が膨らんだ矢先に、バランスを崩した。

「我慢する間もなくブレードが飛んでしまった。粘って耐えられるものではなかった」

体は外側の緩衝材まで吹っ飛んだ。
即座に立ち上がると、転倒した地点まで戻り、最後まで滑りきった。

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自宅でひたすら靴紐結び!? 田臥勇太の意外な"自主トレ"の真相

新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛期間中、Bリーグ宇都宮ブレックスの田臥勇太(39)は、ひとり自宅で"バッシュ"の着脱を繰り返していた。日本人初のNBA選手であるパイオニアの意外な"自主トレ"。靴紐の結び方にこだわりがあり、時間をかけ過ぎるため、短縮に向けて試行錯誤していた。

「甲や踵(かかと)の収まりが悪かったり、左右の締め付け方が違うと気持ち悪い。いろいろ微調整していると、時間がかかってしまうが、結ぶ時はずっと同じ姿勢で身体に負担がかかる。パフォーマンスを上げるためにやっているのに本末転倒なので、5分ぐらいでできるようにしたくて、家で挑戦しています」

靴紐の結び方にこだわり始めたのは約9年前。2011~’12年シーズンに踵を負傷したのを機に、シューズのインソールを足形に合わせた特注品にした。それに伴い、靴が足にフィットした状態で紐を締めることの重要性を実感。試合前に田臥が長時間かけてシューズを履く姿はクラブ関係者やファンの間ではお馴染みの光景だ。

ある日、チームメートのライアン・ロシター(30)が事前に本人に知らせずに計測。

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現役として日本バスケ界を長らく牽引した50歳、折茂武彦の決断

予期せぬ形で27年間の現役生活に終止符が打たれた。5月14日に50歳を迎えたBリーグ最年長の折茂(おりも)武彦(50=レバンガ北海道)は、昨年9月に2019-'20年シーズン限りでの現役引退を表明。新型コロナウイルス感染拡大の影響で3月27日にリーグ打ち切りが決まったため、無観客で行われた同15日のアウェー川崎戦が最後のユニホーム姿となった。5月3日にはオンラインで引退会見を実施。「あっさり終わったので、心の整理ができていない。やり残したことはたくさんあるが、いいバスケットボール人生だった」と万感の思いを言葉に込めた。

不完全燃焼のシーズンとなったため、ファンやスポンサーからは1年限定での現役続行を望む声も上がった。だが「27年間、背負ってきた荷物を一度、下ろしてしまった。今まではどんなに苦しくても下ろさずに来た。だからこそ背負えていた。その荷物が重たすぎてもう持ち上がらなかった」と引退を先延ばしする余力は残っていなかった。今季開幕前には肺疾患が判明。病名は間質性肺病変で、悪化すれば間質性肺炎という難病になる。「それほどプレーに影響はなかった」と説明したが、精神的にも肉体的にも限界だった。

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TEXT=木本新也

PHOTOGRAPH=アフロ

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