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2021.03.14

ザ・ワインギャラリー成田忠明が愛用する、ヌンツィオ・ピロッツィのオーダーコート

成田忠明のヌンツィオ・ピロッツィの オーダーコート

「重量はありますが、肩にバランスよく荷重されるため重く感じない」というコート。カシミアにビキューナを混紡した生地は“ウロコ目”という波状の光沢を帯び、独特の美しさを放つ。

「穏やかに大胆に美しく内なる力を引きだせる」

最高の逸品が堪能できながらも、肩肘張らずに愉しめる。成田忠明氏がオーナー兼ソムリエを務める西麻布のフレンチレストラン「エスペランス」や、ブルゴーニュを中心に取り扱うワインショップ「ザ・ワインギャラリー」には、そんな共通項がある。ファッション業界では知る人ぞ知る洒落者でもある成田氏。その凛々(りり)しくも周囲を威圧しない装い、そして今回、勝負アイテムとして挙げたコートにも、それは通じるのだ。

「レストランを経営しているとさまざまな方と出会いますが、親しくさせていただいたお客様がある日、着てこられたスーツがあまりにも美しく、どこで仕立てられるのかをたずねずにはいられませんでした。それがナポリのヌンツィオ・ピロッツィであり、日本の代理人の方を介してすぐに会うことができた。細かな仕様などはすべてお任せし、さっそくシンプルなネイビースーツを仕立ててもらったのですが、一着目から驚くほど素晴らしいものができあがったのです。それまでもイタリアのサルトでのオーダー経験はありましたが、そんなことは初めてでした。それから何着かスーツを仕立てた後、ヌンツィオに勧められて注文したのが、このビキューナのコートでした」

右は独立を機に、自分を発奮させるべく購入したというジョンロブのベビークロコローファー。履くと初心に返れるという。左は10年以上惚れこむ、ヨウヘイフクダに注文したシューズだ。

“神々の繊維”と謳われるビキューナは、動物繊維としては世界で最も細い希少な超高級素材。別格のなめらかさと温かさ、美しさを誇るが、それにも増して成田氏が魅了されたのがコートそのものの雰囲気だという。

「私の理想とする服は、男性でいう“三枚目”であり、いわゆる“二枚目”ではありません。少し抜け感がありつつも、どこか洒落ていて存在感はしっかりとある。そして常に気張って格好つけている二枚目とは違い、心穏やかで優しい。ヌンツィオのスーツやコートは、まさしくそんな三枚目の服なのです」

至高のコートが生んだ新しい勝負=ビジネス

成田氏曰く、ナポリ4大サルトのひとりにも数えられるヌンツィオ・ピロッツィ氏は、服自体の着心地や美しさだけではなく、着た際に着用者が最も素敵に見えることに細心の注意を払っているという。それは着用者を飾り立てるのではなく、着用者本来の魅力、つまり着飾りすぎない自然体の魅力を引きだすことに他ならない。そこが成田氏の言う三枚目の服のゆえんであり、同氏にとっての勝負アイテムたらしめている理由のようだ。

「強い存在感があるこのコートは、あまり前に出るべきではない席や、初対面の方とお会いする際は着ないようにしています。むしろ着るのは、例えばすごい方々が集うような、言うなれば重要な席へと発展する可能性のある場です。このコートに袖を通すと、穏やかな気持ちでありながらも、美しく、大胆に振る舞うことができる。そのお陰で知己(ちき)を得た方もおり、ファッション業界関係にもコネクションができました。そしてそれが、昨年立ち上げたファッションブランド『イル・カプリコルノ』へとつながったのです」

イル・カプリコルノ

イタリア語で山羊座を意味する、成田氏が創設したブランド「イル・カプリコルノ」。イタリアで修業した仕立て職人が手縫いするフルハンドメイドスーツ(¥550,000~)など、最高峰のオーダーウェアを提案する。capricorno.sumisura@gmail.com

平穏をもたらし、自分らしく振る舞うために後押ししてくれたコート。それが長年の夢だったというファッションブランド創設への道筋を拓き、新たな勝負、ビジネスへと発展する。成田氏にとって、まさにそれは必勝以上の価値ある服なのである。

「元来私は勝負事を好まず、仕事にも常に穏やかな心で臨みたいと思っています。そういった意味でもこのコートは、自分の外面だけではなく内面を引き上げ、力を引きだしてくれる存在です。優れた服とは、自分にないものをつけ足すのではなく、本来の自分を補ってくれる道具であるべきだと思うのです」

Tadaaki Narita
1963年神奈川県生まれ。東京の高級フランス料理店で研鑽を積み、’95年に独立。その後ワインショップ「ザ・ワインギャラリー」などを手がけ、念願のファッションブランド「イル・カプリコルノ」を昨年スタートさせた。

NARITA’S TURNING POINT

24歳 住んでいた神戸から上京し、高級フレンチ店にソムリエとして勤務。
30歳 渡仏してレストランを開業した先輩の果敢な姿勢に刺激を受け、成功には挑戦が不可欠と肝に銘じる。
32歳 独立して六本木に自身のワインバーをオープン。身を粉にして働く。
53歳 ワインショップ「ザ・ワインギャラリー」を開店。常時3000本以上を揃え、ワイン通の支持を得る。
57歳 ザ・ワインギャラリー内にて注文服をメインとしたブランド「イル・カプリコルノ」をスタートさせる。

TEXT=竹石安宏

PHOTOGRAPH=太田泰輔

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