師匠か、恩師か、目をかける若手か、 はたまた一生のライバルか。 第 26 回は、親子ほど年の離れた女性起業家のふたり。
仲 暁子が語る、久能祐子
スタンフォード大学のウィメンズエコノミーで登壇した時、終了後に声をかけてくださったんです。京大の大先輩と聞いて、プロフィールを調べてみたらびっくり。アメリカで会社を作って上場させている人だったんです。そんなことは不可能に近いと思っていましたから。
「よかったらお茶でも」とお誘いいただき、社交辞令だった可能性も顧みず、すぐにお邪魔してしまって。しかも祐子さんは優しくて、なんとも居心地がよく、いきなり長時間滞在。さらに翌日もお会いしました(笑)。3 ヵ月後に日本においでになった時は会社に来てもらい、以後、定期的にお会いするようになったんです。
偉大なる無私の人です。NPOも本気で支援されていて、妙な計算なんていっさいしない。人生をどう生きるか、どういう姿勢の大人になるべきなのか、とにかく「おお! 」って感じなんです(笑)。いわゆる先輩後輩、みたいな雰囲気もまったくない。優しくて謙虚で素敵な人。これからも、たくさん学ばせてください。
(これよりWEB版限定テキスト)
ワシントンDCのご自宅にもお伺いしたことがあります。祐子さんはインテリアがお好きで、本当に素晴らしい家でした。このとき、チャリティイベントに連れていってもらいましたね。
アジアンアメリカンの会。10ドル札を握りしめて10代の時に渡米し、今は成功したインド人や中国人の方がたくさんいて、アメリカのパワーは移民にある、と改めて知って。普通では見られない、アメリカの立体的な強さを垣間見ました。
祐子さんの日本でのプロジェクトが始まります。とても楽しみなプロジェクトなんです。
久能祐子が語る、仲 暁子
素敵な人だな、と思って名刺を持って走って挨拶に行ったんです(笑)。私も京大の同窓です、と。この人は何でも心を開いて話せそうだ、と直感的に思ったんですね。年齢は親子くらい離れてますけど。よければお茶でも、とお話ししていたらすぐにメッセージがきて、夕食までいてくれて(笑)。ケミストリーが合ったんです。距離感がよくて、お互い聞き役になれて、時には励ましてもらったり。
22年アメリカに住んでいますが、京大で役職をいただくことになって、今は3 ヵ月に一度は帰国しているので、そのたびに会っています。総長と食事をするから、とお招きしたり、友達と会う時にお誘いしたり。インキュベーションの新しい形を京都で作ろうというプロジェクトも始まっていて、来年4月にスタートしますが、いろいろアドバイスをもらっています。
まさかこんなに早く会社を上場させるとは驚きです。強い人ですよ。料亭の「金田中」にいつもの格好で来た時は、驚きましたけど(笑)。
(これよりWEB版限定テキスト)
ビジョンを作って、自らリードしながら、それを実践していくというのは、大変なこと。自ら山に登っていける人は意外に多くない。創業者は孤独です。いつもひとりで決めないといけない辛さがある。それが共有できるから、私もリラックスして過ごせるんだと思います。
30歳以上、年齢が違いますが、これからすくすく育っていってくれるのを陰ながら楽しみにしたいですね。もしも困ったことが起きたら、それを取り払ってあげられたらと思っています。周囲から見ると、とても不思議な関係、かもしれないですね(笑)。
Akiko Naka(左)
ウォンテッドリー代表取締役CEO。1984年生まれ。京都大学経済学部在学中に起業を経験。ゴールドマン・サックス証券を経て、フェイスブック日本法人の立ち上げに参画。2010年に創業。
Sachiko Kuno(右)
S&R財団CEO。1954年生まれ。京都大学で博士号を取得。研究員生活を経て日米両国で創薬ベンチャーを共同創業。米国で社会起業家を支援するNPO法人ハルシオンを設立。