伝えたはずなのに、伝わっていない……。言葉で伝えても、なかなか伝わらない。いくら言葉を尽くしても、自分がイメージすることと伝えた相手がイメージすることが一致しない“うまく伝わらない”現象に頭を抱えるビジネスパーソンは多いだろう。これを解消すべく本当に伝わるコツを、40万部のベストセラー著者でもある脳科学者・西剛志が伝授する。『結局、どうしたら伝わるのか？ 脳科学が導き出した本当に伝わるコツ』（アスコム）から一部を抜粋して紹介する。【その他の記事はこちら】
「伝わる」とは認知のズレをなくすこと
コミュニケーションがうまくいくポイントは「認知のズレ」をなくすこと。認知のズレが起きるのは、自分にも相手にも「バイアス」があるからです。
だから、バイアスを知っていれば、認知のズレを最小化できます。相手がどういうバイアスを持っていそうかを考えながらコミュニケーションができるからです。人には200個以上のバイアスがあるといわれています。その一例がこの表です。
ここで、上記の表で出てきたバイアスの例で、おもしろいテストをしてみましょう。簡単なテストなので、ぜひやってみてください。そのテストの名前は「ひたEテスト」です。
「ひたEテスト」のやり方
額の部分に指でアルファベットの「E」という文字を書いてください。
書いたら、今度は「E」の字の縦棒部分が、自分から見て額の右側にきたか、左側にきたかを確認してください。
このテストでわかるのは、あなたが自分視点の人か、他者視点の人かどうかです。自分から見た「Ｅ」を書くか、相手から見た「E」を書くか。
自分から見て右側に棒が来る人は、相手から見た「E」を書いています。左側に棒が来る人は、自分から見た「E」を書いています。
自分視点が強い人は、自己中心性バイアスが強いということになります。自己中心性バイアスが強い人の特徴はこんなことがあります。
●自分の考えは常に正しいと思いがち
●人の話をちゃんと聞いていない
です。このような人、周りにもいないでしょうか？
自己中心性バイアスが強い人は、人から命令されるのが嫌いです。命令された瞬間に「いや、俺のほうが正しい」と心が燃え上がります。
そこで、「すごいですね」というように、相手の自己中心性バイアスを刺激してあげ、そうなったタイミングでお願い事をすれば、相手が何かをやってくれる可能性が高まります。相手の特徴をうまく利用したほうが、頭がいい対応策になるのです。
脳科学者(工学博士)、分子生物学者。武蔵野学院大学スペシャルアカデミックフェロー。T&Rセルフイメージデザイン代表取締役。東京工業大学大学院生命情報専攻修了。2002年に博士号を取得後、特許庁を経て、2008年にうまくいく人とそうでない人の違いを研究する会社を設立。子育てからビジネス、スポーツまで世界的に成功している人たちの脳科学的なノウハウや、大人から子供まで才能を引き出す方法を提供するサービスを展開し、企業から教育者、高齢者、主婦など含めて3万人以上に講演会を提供。『世界仰天ニュース』『モーニングショー』『カズレーザーと学ぶ。』などをはじめメディア出演も多数。TBS Podcast「脳科学、脳LIFE」レギュラー。著書に20万部のベストセラーとなった『増量版 80歳でも脳が老化しない人がやっていること』、『1万人の才能を引き出してきた脳科学者が教える 「やりたいこと」の見つけ方』など海外を含めて累計42万部突破。
