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2023.01.19

稀代のアートコレクター桶田俊二・聖子夫妻が語る盆栽の楽しみ方

盆栽を愛し、収集する人はどのように楽しんでいるのか。自慢の品を見せていただきながら、盆栽を楽しむ極意を教えてもらう。

盆栽(加藤崇寿・蔓青園)

加藤崇寿・蔓青園(まんせいえん)
樹種 真柏
水やりは1日2回、欠かすことができず、管理も難しいため、普段は職人のもとにあり、来客時などに部屋に戻ってくるという。入手したのは170年余続く大宮の盆栽商「蔓青園」にて。

古いものと新しいものをかけ合わせることでパワーが生まれる

樹齢推定450年。枯れて白骨のように白くなった幹「舎利(シャリ)」と、生きている幹「水吸い」が絡み合い、ダイナミックな動きをおりなす真柏(しんぱく)の盆栽。その背景には対(つい)になる緑と黄色の草間彌生作品が飾られている。

「この盆栽を見て、草間作品と合うのではとピンときたんです」

そう語るのは、現代アートコレクターの桶田俊二・聖子(あさこ)夫妻。22年前から骨董の収集を開始、2010年に現代アートに舵を切った。世界のアートフェアやオークションを巡り作品を収集、コレクション展も開催してきたふたりが、盆栽に注目するようになったのは7年前だという。

「一部は、死んでいながら、躍動感のある真柏の盆栽に惹かれます。コンテンポラリーアートと通じるものを感じるんです。最初は盆栽って、床の間に飾られている古臭いものというイメージがあったのですが、この躍動感あるものをコンテンポラリーアートとかけ合わせたら、すごいことになる、そう思いついたのが盆栽を集め始めたきっかけです」(俊二氏)

盆栽とコンテンポラリーアート

上に枝を伸ばすようなシャリに対して、水吸いは下に流れ葉をつける、推定樹齢380年の檜。右の絵画はリヒター、左はロンドンで活躍する20代のアーティスト、ジャデ・ファドジュティミのもの。

盆栽(加藤崇寿・蔓青園)の台座 

台座となっているのは根来(ねごろ)塗の板で、現代アーティスト大藏達雄氏によるもの。

自らのアートコレクションと、盆栽をともに飾り、うちうちで展覧会をしたところ、アートの専門家の間で評判に。今や世界中のアートコレクターが「アート×盆栽」の化学反応を見ようと、夫妻の自宅に訪れるという。

「この木は450年も生きている。けれどコンテンポラリーアートは古くても40年前くらいのもの。昨年完成した作品だってあります。古いものと新しいものをかけ合わせることでそこに莫大な時間の差が生じ、パワーが生まれるんです」(聖子氏)

一番上の写真、背景に見えるのは草間彌生作品、左の螺鈿の棚は李朝時代のもの、その上には同じく李朝の陶磁器「粉引(こひき)」、さらに左端の壁に見えるのはゲルハルト・リヒター。その言葉どおり、さまざまな時代のものがひとつの空間に存在し、絶妙なコンビネーションを醸しだしている。

樹齢推定380年の盆栽

こちらも樹齢推定380年。同じく大藏氏による根来塗の作品とともに。盆栽、アート、骨董すべて「オケタコレクション」所蔵。

「私たちは、どう盆栽をアートに合わせるかを考えています。世界では、そういう盆栽の楽しみ方が主流になるかもしれません。ここ数年、海外からの盆栽への注目度は高まっています。アジアや欧米諸国から多くの人が手入れの技術を日本で学んでいますから、あと少ししたら、ますます海外の盆栽コレクターが増えるでしょう。彼らがどう盆栽を飾っていくのかも見てみたいですね」(俊二氏)

今後もアートとのかけ合わせにぴったりの盆栽があれば集めていきたいというふたり。新たな楽しみ方を追求していく。

桶田夫妻

桶田俊二・聖子(あさこ)
長年ファッションビジネスに携わったのち、骨董収集を開始。2010年に草間作品に出会ったことをきっかけにコンテンポラリーアートへと進み、OKETA COLLECTION「Mariage―骨董から現代アート―」展などさまざまなコレクション展も開催している。

TEXT=安井桃子

PHOTOGRAPH=古谷利幸

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