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2022.08.29

メタバースで変わるお金の価値──これからの5年に必要なお金のスキル 1

「未来の豊かさはマネーリテラシーが左右する。特にここからの5年は勝負の分かれ目」。そう語るのは、国内最大級のマネースクール「お金のトレーニングスタジオABCash」を運営し、2022年8月に『未来のお金の稼ぎ方~お金が増えれば人生は変わる』を出版した児玉隆洋氏。連載「これからの5年に必要なお金のスキル」の第1回のテーマは、「メタバースによるお金への影響」。

児玉隆洋氏

テクノロジーの進化で生まれた巨大な経済圏

今のテクノロジーが進化するスピードは、史上最速と言っていいほどの速さです。インターネットやスマートフォンの登場で、20年前と今とでは生活は大きく変化しましたが、ここから5年に起こる変化は、それを上回ると思います。

生活が変われば、お金にも当然影響が出ます。分かりやすい例でいえば、今ニュースなどで話題となっているメタバースもそのひとつ。メタバースとは、インターネット上に創出される仮想空間のことです。InstagramやtwitterなどのSNSとは一線を画し、そこには計り知れないビジネスの可能性が秘められています。

メタバースを分かりやすくいうと、ゲームの「Fortnite(フォートナイト)」であり、「Minecraft(マインクラフト)」であり、「あつまれ! どうぶつの森」です。メタバース上では現実空間と同じように時間が流れ、そこに人はアバターとしてログインします。

リアルと同じように自由に歩き回って人と交流したり、物を買ったりできますし、国境もないので、グローバルなやりとりも可能。InstagramやFacebook、Twitter、Tiktokなどは、それぞれの企業が管理するSNSのプラットフォームですが、メタバースは誰もが自由に創出できるプラットフォームです。ここが、これまでのSNSと違うところです。

これから、ファッションに特化したメタバース、アーティストのイベントが盛んなメタバースなど、さまざまなメタバースが世界中に発生してくると思います。人はいつでも好きなメタバースにログインして、自宅にいながら海外のアーティストのライブに参加したり、デジタルを駆使したタイムスリップ旅行にも行けたりします。これまではなかった仕組みにビジネスの可能性を感じ、すでにマイクロソフト、ウォルト・ディズニー、グッチ、ナイキ、アディダス、ソフトバンク、パナソニック、ソニー、ANAなど大企業が続々と参入。常識を覆すサービスが、ものすごい勢いで始まろうとしているのです。

メタバースは単に「新しくて面白いもの」ではなく、全世界規模で始まる巨大な経済圏だという認識を持つことが大切ですね。

メタバースによるお金への影響とは

メタバースでの決済は暗号資産ですので、欲しいサービスやアイテムを買おうと思ったら暗号資産が必要になります。今の暗号資産は価格の変動が大きく、ギャンブル要素が強いので通貨としては成立していませんが、今後は必要に応じて普及することも十分考えられるでしょう。

私たちの消費そのものも変わります。もし、仕事もプライベートもメタバースで過ごす時間のほうが長くなったらどうでしょうか。服や時計を買いたいとき、リアルで身につけられるものを買うのか、メタバースのアバターに着せられるデジタルアイテムを買うのか。リアルかメタかで迷い、やがてデジタルがリアルを超えてくる可能性もあります。

これまでコピーが簡単だったデジタルアイテムは、NFTによって「世界にひとつだけ」「本物」という証明をつけられ、所有者や所有権の移動も明確に記録できるようになりました。NFTはブロックチェーン上で動くため、同じくブロックチェーンを基盤とするメタバースとすこぶる相性がよく、これがメタバース上の経済活動を盛んにしています。

唯一無二であるということを証明できるということは、リアルと同じように希少性のあるアイテムには人気が出ます。たとえばナイキから限定モデルのデジタルスニーカーが発売されたら、定価より高値でも欲しい人はきっと現れるでしょう。メタバースでもリアルと同じような所有欲やトレンドが生まれ、それが新たな経済活動を生んでいくのは間違いありません。

しかし、現状はまだリアルが99.9、メタバースが0.1の状態の人がほとんどです。「本当にこれから発達するのか」という意見もあります。実は、元祖メタバースといわれる「Second Life(セカンドライフ)」という仮想空間が2003年に登場していますが、残念ながら成長しませんでした。ただこのときは仮想空間が拒否されたわけではなく、通信環境が整っていなかったのが主な要因です。スマートフォンもまだなく、仮想空間という存在自体に距離もあったと思います。

ですが、現在は通信環境も整い、数年以内には今の5Gから6G、7Gへと進む可能性は十分あります。映画のダウンロードに5秒かかったら遅いと思ってしまう時代もすぐそこまで来ており、メタバースでリッチなデジタルコンテンツをスムーズに楽しめるインフラは十分。加えてコロナ禍で、オンラインで人と交流することに慣れ、SNSによってネット社会で活動することに対する抵抗感も減っています。企業もメタバースにオフィスを持つところが増え、今後は商談や契約もメタバース上でスマートコントラクトを使って行うのが合理的でスタンダードになる可能性もあります。

人は便利だと思えば、取り入れます。気づけばリアルとメタバースが70:30になり、50:50になり、やがて滞在時間がリアルを上回ることも十分にありえると思います。

メタバースは、私たちの新しい生活の基盤として成長し、新しいお金の使い方も始まっていく。このことを頭の片隅においておくことが、今欲しいお金のスキルのひとつです。

 

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連載「これからの5年に必要なお金のスキル」とは……
「未来の豊かさはマネーリテラシーが左右する。特にここからの5年は勝負の分かれ目」。そう語るのは、国内最大級のマネースクール「お金のトレーニングスタジオABCash」を運営し、8月に『未来のお金の稼ぎ方~お金が増えれば人生は変わる』を出版した児玉隆洋氏。本連載では、次の時代を生き抜くために今備えたいお金のスキルを紹介する。

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Takahiro Kodama
ABCash Technologies代表取締役社長。1983年宮崎県生まれ。2007年、サイバーエージェントに新卒入社し、AmebaBlog事業部長、AbemaTV局長などを歴任。2018年、日本の金融教育の遅れ・お金の情報の非対称性に大きな課題を感じ、ABCash Technologiesを設立。「お金のトレーニングスタジオABCash」は累計受講者数2万人を超え、パーソナル金融教育で日本最大規模を誇る。「日本スタートアップピッチファイナル」金賞(2019年)、「FINTECH JAPAN 」準優勝(2021年)など受賞歴あり。

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TEXT=大上ミカ(カクワーズ)

PHOTOGRAPH=坂田貴広

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