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2022.01.19

知らないと困る! 暗号資産にかかる税金の仕組み

暗号資産やブロックチェーンが持つ、世界を変える大きな可能性について各界のキーパーソンに取材していく連載。今こそ知っておくべき、暗号資産の知識とビジネスへの活用例とは? 連載「キーパーソンを直撃! 暗号資産は世界をどう変えるか?」vol.9

暗号資産は世界をどう変えるか?

仮想通貨元年と謳われた2017年から現在にいたるまで、暗号資産投資で利益を得る人たちが特に増えている。しかし彼らが直面するのは、確定申告とそれに伴う煩雑な作業。今回は、暗号資産税制における第一人者でエアリアル・パートナーズ代表の沼澤健人氏に、国内における暗号資産税制の現状と今後のブロックチェーン技術の展開について話を聞いた。

取引自体を敬遠するほど煩雑だった暗号資産の確定申告

暗号資産に関心を持ったのは、当時世界最大の取引所だったマウントゴックスがハッキングの被害に遭い、約480億円相当のビットコインが流出した事件が起きた’14年頃のことです。インターネットによる情報革命と同じように、ブロックチェーン技術を基盤としたデジタルアセットには"価値革命"を起こす可能性があると感じ、ビットコイン投資や技術について勉強。その過程で、暗号資産取引における確定申告のルールが明文化されていないことなどを知り、困っている人たちにソリューションを提供するために’16年、エアリアル・パートナーズを創業しました。

暗号資産の確定申告は、個人の取引・資産情報を一元管理して損益計算するのが面倒で、投資家のなかにはその煩雑性から取引自体を敬遠する方も少なくありません。

私たちはそんな確定申告にかかるストレスを減らし、デジタルアセットの活用が広がる環境を整備するため、デジタルアセットに関する取引・資産データを集約して損益計算や各種の帳簿作成を自動化するサービス「Gtax(ジータックス)」を提供しています。

株式と比べて課題がある暗号資産取引の税制

まず、暗号資産取引における課税の仕組みを簡単に紹介します。課税対象となる所得が発生するタイミングは暗号資産を売却した時、暗号資産で決済した時、暗号資産で他の暗号資産を購入した時の3つが主です。給与所得者で自身が確定申告を行っていない方であっても、暗号資産取引による所得が20万円を超える場合は、確定申告が必要になります。

暗号資産取引による収入は雑所得扱いとされ、他の所得と合算して課税される「総合課税」の対象です。所得が大きいほど課税額も増える累進課税が適用されます。一方、株式やFXの収入は他の所得と分離して課税される「分離課税」。また雑所得は、損失を他の所得区分の利益と相殺することができず、損失を翌年以降に繰り越すこともできません。税制面で考えると、暗号資産取引は株式やFXと比べて課題があるといえます。

とはいえ、暗号資産への投資を控えるべきと言いたいわけではありません。’21年、米国でビットコインETF(上場投資信託)の認可が下りたように、暗号資産取引の金融における存在感は確実に増しています。

私は、新しい技術が社会に実装されるためには、①投機②投資③実需の3つのフェーズに分けられると考えていて、国内では暗号資産をまだ「投機」のフェーズにあるとする人が多いと感じています。ここでいう「投機」とは簡単に言うとギャンブルのこと。しかし、日々暗号資産取引に関する膨大なデータを扱う身としては、暗号資産およびブロックチェーン技術は今や、「投資」から「実需」というマスアダプションへの過渡期にきていると思っています。

暗号資産投資に大切なのは正しい問いを立てること

ブロックチェーンに関していえば、投資を通じてその技術が社会に受容され、ある意味で世界に革命を起こしている瞬間に自分が当事者として参加できるというのが、とても面白くてエキサイティングですよね。ここで大切なのは、ブロックチェーンおよび暗号資産の技術が将来どのような課題を解決するのか、まずは自分自身で正しく問いを立てて考えてみること。その問いへの答えを明確に導きだせるなら、ぜひ暗号資産への投資にチャレンジしてみてほしいです。

暗号資産やブロックチェーンに今必要とされているのは、インターネットにおけるブラウザのようなインフラです。分散型ネットワークを下支えするインフラのひとつに私たちのサービスを位置づけて普及させることで、従来の価値のあり方に革命を起こしていく、その一助になればと思います。

Illustration=細山田 曜

TEXT=師田賢人

COOPERATION=あたらしい経済

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