人間の持つ美意識こそがビジネスのビジョンとなる
京都を代表する伝統工芸のひとつ、西陣織。流通量が減り、規模縮小の一途をたどり続けている着物市場において、シャネルやエルメス、ディオールや5つ星ホテルのインテリアにも採用されるなど、世界の一流ブランドを虜にしているのが、「HOSOO」という西陣織ブランドです。2020年に社長に就任して以来、西陣織業界にイノベーションを巻き起こし続けているのが本書の著者、細尾真孝(まさたか)さん。1688年創業の西陣織の老舗「細尾」の12代目である細尾さんは、西陣織の技術を活用した革新的なテキスタイルを海外に向けて展開し、成功を収めてきました。
度重なる挫折や苦悩を味わいながら、世界のトップクリエイターたちと協業してきた経験から細尾さんがたどりついた結論は、「美しいものをつくりたいという欲求こそが、創造と革新を生む」ということ。組織として、個人として美意識を育むことで既存の考え方や思考パターンから脱却し、新しい価値を生みだすことができるといいます。
ビジネスを取り巻く環境が大きく変化している今の時代、私自身も経営者としてビジネスをより進化させていくために、美意識の重要性について再認識するいい機会となりました。
『日本の美意識で世界初に挑む』
細尾真孝 著 ダイヤモンド社 ¥1,650
Mayuko Saeki
ヴィエリス代表取締役。全身脱毛サロン「メンズキレイモ」等を60店舗以上展開。1600人の従業員とともに、SDGsの実現にも積極的に取り組む。移動時間はすべて読書に費やす読書家。