35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者。「その英語力でよく来たね(笑)」と笑われて2年後、英語力未だ0.5であえなく帰国。だけど日本にいたって、きっともっと英語は覚えられる! 下手でもいいじゃない、やろうと決めたんだもの。英語力ゼロレッスン「人のEnglishを笑うな」第98回!
「ハリネズミ」って英語でなんて言うの
イギリスに暮らしていた短い間、英語もしゃべれないし、人が集まる場所はなんとなく気おくれして、時間が余るとずっと公園にいました。どの街にも大きな公園があり、整備されたイングリッシュガーデンはとても見事で寂しい気持ちを紛らわしてくれました。
しかし公園でぼーっとしているだけでも、英語を話せないというのは随分不便なものでした。
ある時、少し暗くなりかけた公園で、ごそごそと動くものが見えました。
よくいるリスでもないようで、じっと見ていたら、ハリネズミでした。
野生のハリネズミは珍しいので、しゃがんで一人でじっと見ていたら
通りかかった人が「なにかいるの?」と聞いてきました。
「ハリネズミがいる」と言おうとしてハッとしました。
「ハリネズミ」って英語でなんて言うの……。
それでもなにか言わなければととっさにこんなことを言ってしましいました
Mouse who has needles.
針のついたネズミ、と説明しようとしたのでしょう。関係代名詞をWhoにしている時点で擬人化しちゃっています。言ったそばから、両手に針を持ってお裁縫に挑戦している二足歩行のネズミが浮かんでしまって自分でも笑ってしまいました。向こうも笑っちゃってましたが
Hedgehog?(ハリネズミのこと?)
と聞いてくれて「1度だけ見たことあるな、暗くなってからでないといないんだよね」と言ってしばらく一緒に観察していました。
Hedgehog(ヘッジホッグ)=ハリネズミ
でした。単語帳で覚える単語はすぐ忘れてしまいますが、こういう出来事があると印象的で、「あ、これは絶対忘れないな」と思った瞬間でした。
水鳥の名前は全部ダック!?
公園の池には水鳥がたくさんいて、シーズンになるといっせいに、ヒナがかえります。
白い鳥、黒い鳥、小さい鳥、大きい鳥などたくさんの種類がそれぞれ子連れで泳いでいて大変微笑ましく、また日本では見たことがない鳥もいました。そこで勇気を出して池で動物を管理したり掃除をする人が通りかかった時に聞いてみました。
「あの鳥は何ですか?」
返ってきた返答は
That’s duck.(ダックだよ)
「ああ、カモか。まぁカモっていっても〇〇カモとか種類が知りたかったんだけどな」と思いながら「じゃああれは?」と少し遠くにいるさきほどより大きめの水鳥を指さしました
That’s also duck.(あれもダックだよ)
私もだんだんムキになってきて「じゃあ、あの子供の鳥は?」と、先ほどと色もサイズも違う鳥のヒナを指しました。
Baby duck.(赤ちゃんダック)
全部ダックでした。あとで英語教師に聞いても「水鳥はとりあえずみんなダックって呼んじゃう」と言っていました。もちろん、ちゃんと種類の名前はあるのでしょうが、普通の会話ではもう全部ダックと言ってしまう人もいるようです。やけになって調べたら、日本語では、オオバン、エジプトガン、カナダガン、アオサギと呼ばれているものが私の目撃したダックでした。
ちなみにduckは動詞でも使えるようで、よける、とか、隠れる、というふうにも使われるそうです。
I saw the ball hurtling towards me and ducked down.
(ボールがすごい勢いでこっちに向かってきたので、しゃがんで避けた)
また公園の管理の人は“baby duck”といいましたが、子供のカモは“duckling”と呼ぶこともよくあるようです。「みにくいアヒルの子」の英題は「The ugly Duckling」なんだそうです。まぁその時に“duckling”と言われてもわからず、そういう鳥の名前かと思っていたと思うので“baby duck”と言ってくれてよかったです。
公園には、先にお伝えした通りリスもたくさんいます。
リスは“Squirrel”なのですが、英語教師と公園でランニングをした際も、何度も「君の“Squirrel”の発音は違う」と言われました。“Squirrel”はアメリカ英語とイギリス英語では発音が違い、アメリカ英語で勉強した人はたいてい「スクウォーラル」というような発音になります。イギリスはもっと短い「スクーラル」に近いような言い方です。確かにこの単語は大学受験時に覚えたものですから、アメリカ英語で覚えていたのかもしれないですが、“q”とか“r“とか苦手な音がたくさんある単語ですので、私の場合はただただ言えていないのですが。
Illustration=Norio