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2021.03.31

日・中・米のキャッシュレス事情とは?

生活様式が劇的に変化を遂げている昨今。真の意味での「豊かさ」を求めるため、人々はどのようなお金の動かし方をするのだろうか。その選択肢のひとつが、クレジットカード。新たな時代にふさわしい使い方を、今一度考えてみたい。連載「新しい時代のお金の動かし方」の第1回は、ラグジュアリーカードHead of Asiaの林ハミルトン氏が語る日・中・米のキャッシュレス事情について。

65.8%がキャッシュレスの中国。現金主義が根強く残る日本

こんにちは。ラグジュアリーカードHead of Asiaの林ハミルトンです。

ラグジュアリーカードは2008年にアメリカで誕生したクレジットカード。Mastercard最上級ランクの「ワールドエリート」に格付けされ、’16年11月から日本でもサービスを開始しました。

現在、私はアメリカ・ロサンゼルスと東京・日本橋に自宅をもち、中国への出張の際はホテルを利用。主にアメリカ、日本、中国の3ヵ国を行き来する生活を送っています。今回は、その3ヵ国のキャッシュレス決済の現状についてお話したいと思います。

経済産業省が’19年に発表したキャッシュレス比率は、中国65.8%、アメリカ46.0%、日本は19.9%。中国、アメリカに比べると、日本はいまだ”現金主義”が根強く残っているといえます。

キャッシュレス化が進まない理由は、風習や文化の違いによるところが大きいですね。日本人は、現金そのものにありがたみを感じます。餞別やお祝いで現金をもらえばうれしいし、子どもの頃からその気持ちが養われています。もしもお年玉が銀行振り込みだったら、味気ないし、寂しいじゃないですか。

日本の治安がよく、街が清潔である点も、キャッシュレス化が進まない要因の一つです。日本では現金を安心して持ち歩けます。たとえ財布を落としたとしても、交番に届くことがある。海外ではまずあり得ないことですよ。それに、お札がきれい。アメリカや中国では、絶対に触りたくない汚れたお札を目にすることがあります。

日本の現金文化は、とても素晴らしいものです。とはいえ、現状のままでいいわけではありません。世界の主要各国ではすでにキャッシュレス決済が広く普及しています。仕事で日本に滞在するビジネスパーソンや外国人観光客に対応するためにも、今以上にキャッシュレス決済の環境を整備していくことが必要です。

さらにコロナウイルスの世界的な流行で、キャッシュレス化がより進んでいくことが予想されます。不特定多数の人が触る現金に、できる限り触れないようにする。感染予防の観点からも正しい意識だと思います。

日本もライフスタイルに合わせてカードを選ぶ時代へ

海外では、キャッシュレス決済の進化形としてコンタクトレス決済が一般的になりつつあります。コンタクトレス決済とは、クレジットカードやICカード、スマートフォンを専用の端末にかざすだけで支払いができる決済方法。ショップやレストランは専用の機器を設置することになりますが、日本では導入している店舗は都心では増えてきておりますが、米国や中国と比べると圧倒的に普及率は低いです。日本はテクノロジーの面でも、世界に追いついていかなければなりませんね。

日本政府は「2025年6月までにキャッシュレス決済比率を倍増させ、40%程度を目標にする。将来的には世界最高水準の80%を目指す」と成長戦略を掲げました。キャッシュレス社会の実現に向けて、国をあげて取り組んでいこうという決意を表明したのです。

そうした状況の中で、クレジットカードに対する個人の意識も変わっていくとうれしいですね。海外では、クレジットカードの所持は時計やアクセサリーを持つ感覚に近い。所有することで人生が豊かで楽しいものになる。そのために、自分の趣味やライフスタイルに合ったカードを選びます。定期的に自分のカードが「このままでいいのか?」と考え、見直しや乗り換えを行う人が多いんです。

日本でも、自分にふさわしいクレジットカードを選ぶというスタイルが定着してほしい。「学生時代から長く使っているから」という理由ではなく、理想とするライフスタイルを実現してくれる一枚として選ばれるべきです。

ラグジュアリーカードの創業者やスタッフ一同は、自分たちの会社を一般的なクレジットカード会社だとは思っていません。人々の人生を豊かにする「ライフスタイルカンパニー」だと考えています。

その思いからカードの素材にも、強いこだわりを持っています。クレジットカードの材質はプラスチックカードが主流ですが、ラグジュアリーカードは金属製。プラスチックでは味わうことのできない高級感やしっかりとした重み、ひんやりとした質感を感じることができます。ちなみに重さは1枚22gあります。

どうして金属製を採用したのか? 従来のクレジットカードは材質やデザインが均一で、自分の趣味に合わせて選ぶという選択性がありませんでした。洋服や財布、時計、鞄などは自由に選ぶことができるのに、クレジットカードにはそれがない。豊かなライフスタイルに充実した選択肢は欠かせません。

ただ単に、材質を金属に変えただけではありません。カードに文字を彫り込む印字マシンは、当時日本にはなかったため米国から輸入。この機械は価格が1台数千万円もします。また、ラグジュアリーカードのゴールドカードは、アカデミー賞で授与されるオスカー像を製作するアメリカの会社へ発注し、24金加工を施しています。「ここぞ」というこだわりのあるところには、絶対に手を抜かないのです。

ラグジュアリーカードが豊かなライフスタイルの実現を手助けする役割を担えれば、幸せに思います。

Hamilton Hayashi
ラグジュアリーカードHead of Asia。1977年、東京都生まれ。少年期にニューヨークに移住し、コロンビア大学・大学院を卒業。米国系金融機関シティバンクで新規カード立ち上げに従事した後、2007年からラグジュアリーカードのHead of Asiaに就任し、約7年間日本に在住。'16年11月、日本でカード発行開始。中国には2018年1月に進出、'21年3月には2社目の銀行と提携。

LUXURY CARD
2008年米国で創業された富裕層向けクレジットカード。重厚感ある金属製カードを特徴とする。マスターカードが認定した最上位クラスのカード「ワールドエリートMastercard」を採用。24時間365日、グローバルコンシェルジュが対応。ポイント還元率業は界最高水準の1.5%、賞品交換では最大3.3%。「プライオリティ・パス」「ダイニング優待」といった定番のサービスのみならず、「リムジンサービス」「美術館・映画館の無料鑑賞」「会員制カフェ・ラウンジアワー」、経営者向けにカード会員に自社商品を宣伝できる「LCオーナーズコミュニティ」などユニークなサービスを数多く提供している。
公式HPはこちら

COMPOSITION=川岸 徹

PHOTOGRAPH=喜多孝幸

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