世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子・吉田洋一郎。顧客の多くが国内外のエグゼクティブ、有名企業の経営者という彼による、スコアも所作も洗練させるための“技術”と“知識”を伝授する最新ゴルフレッスンコラムをまとめて振り返る。まだまだ厳しい寒さが続くが、ゴルフシーズン到来に向け、コソ練を積み重ねてスコアアップを目指したい。
“ショートゲームの神様”帝王ニクラウスのアプローチ術
4大メジャー(マスターズ・全米オープン・全英オープン・全米プロ)における、歴代最多勝利はジャック・ニクラウスの18勝だ。現役最多がタイガー・ウッズの15勝ということを考えると、その偉大さがわかる。
1980年の全米オープン。ニクラウスは8年間遠ざかっていた全米オープンのチャンピオンに返り咲いた。この大会で4日間を同じ組で回り、最終日まで激闘を繰り広げたのが青木功だ。青木が記録した最終順位の2位は、当時日本人としてのメジャー最高順位だった。ニクラウスと青木の戦いはバルタスロールの死闘と呼ばれ、今もなお語り継がれている。
この時にニクラウスとタッグを組んでいたのが、ショートゲーム専門コーチ、フィル・ロジャースだ。フィル・ロジャースは米国で「ショートゲームの神様」と知られるポール・ラニアンから直接指導を受け理論を確立してきた。前年頃からアプローチのスランプに陥っていたといわれるニクラウスにティーチングを行い、見事に優勝に導いた名伯楽だ。
私自身もロジャースの教えに触れたくて、カリフォルニアまで会いに行き直接レッスンを受けたことがある。その中で衝撃を受けたのは「アプローチのボール位置は、ドライバーと同じくらいでもよい」というものだった。
続きはこちら
ゴルフ練習嫌いの欧米人に学ぶ超実践的レッスン法
私は人にゴルフを教える仕事をしているが、同時に教わることも多い。3ヵ月に1度ほどアメリカを訪れて、最新の理論を提唱するコーチに取材をしたり実際に生徒としてレッスンを体験したりしている。
その中で彼らのレッスン拠点であるアカデミーを訪れることがあるのだが、そこで見る環境は日本の施設とは大きく異なる。もちろん施設が広大であるということもあるのだが、その広い施設の中に大きな練習レンジや練習コースがあるという規模の話だけではないのだ。
例えばパッティンググリーン。広い練習グリーンの各所にカップが切られているところまでは同じだが、カップを中心にして同心円状に線が引かれている。線はカップから1メートルごとに引かれており、実際のレッスンでは複数人が同じ距離から何球サークルの内側に入れられるかを競ったりする。そうすることで、距離や傾斜ごとにゲーム感覚で自分の得意不得意が把握できる。退屈なアプローチ練習をより実践的な形で行うための工夫だ。
練習レンジも日本のように直線的ではないものもある。マスターズの練習場のように意図的にドックレッグをイメージして作られていたりするのだ。
続きはこちら
パッティングに練習時間とセンスは必要ない! グリップのゴールデンポジションを知れ
パッティングでは打つ前にボールの転がりの9割が決まっていると言われている。それはストロークの際、体の動く範囲がとても少ないからだ。ショットよりも動きが小さく短時間で完結するため、動いている途中に調整する動きを入れることができない。
ショットの場合「フェースが開いている感じがする」と思えば、ダウンスイングで手を返して調整することができる。プロがたまにドライバーショットのフィニッシュで右手を離しているシーンがあるが、これも「引っかける!」と感じてとっさに調整を行った結果の動きだ。
しかしパッティングではクラブが動く範囲が少なくシャフトのしなりも感じられないため、「フェースが開いている」などという機微を感じることが難しい。たとえ開いていると感じて調整したとしてもフェースを戻してスクエアに当てることはかなり難しいことだ。
ストローク中にはとっさの判断で調整ができない、ゆえにボールの転がりはアドレスで決まってしまうのだ。
続きはこちら