世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子・吉田洋一郎による、最新ゴルフレッスンコラム126回目。多くのアマチュアゴルファーを指導する吉田洋一郎コーチが、スコアも所作も洗練させるための技術と知識を伝授する。
アウトサイド・イン軌道は右手の使いすぎが原因
ゴルフクラブを握る機会が少なくなると、どうしてもスイングの感覚を忘れがちになってしまう。そんな時は自宅でちょっとした工夫をしながら練習をするといいだろう。
今回はスライスを克服したい人向けに、自宅で手軽にできる練習法を紹介しよう。多くのゴルファーが右に曲がっていくスライスに悩まされているが、スライスがでる理由にはいくつかある。大抵の場合、スイングの軌道がアウトサイド・インになっていることが原因だ。ボールに対して外側から内側に振り抜くクラブ軌道と、開いたクラブフェースによって、ボールが左側に飛びだして途中から大きく右に曲がっていく。
アウトサイド・イン軌道になってしまう原因は人それぞれ違うので一概には言えないのだが、簡単に言ってしまうと手打ちになっているからだ。体全体を使わず、末端の手や腕だけでクラブをボールに当てにいく動作はアウトサイド・イン軌道になりやすい。右利きの場合、利き手の右手を使いすぎてしまうことで、より一層その傾向が強くなる。
多くの人は普段の生活の中で、大抵のことは利き手を使ってすませてしまう。おそらく、手を使うときの9割は利き手だろう。使い慣れた利き手によって自分の意思をスムーズに伝達できるメリットがあるが、ゴルフにおいては、器用すぎる利き手がトラブルの原因となってしまうことがある。レッスンの際、片手で素振りをしてもらうことがあるが、スライサーの場合、右手(利き手)でクラブを振ったときはアウトサイド・インになるが、左手で振るとアウトサイド・インにはならないことが多い。器用な右手はボールを打とうとアウトサイド・イン軌道になるが、不器用な左手はクラブの重さに任せて振るため、きれいなオンプレーンになるのだ。それだけスライサーは右手に頼ってボールを打ちにいこうとしていると言える。右手だけに頼らず、左手を使えるようにして左右のバランスをとることで、クラブの軌道を修正できるようになる。
ペットボトルの素振りで左手の使い方を練習
左手でクラブを振る練習をするには、左手一本の素振りが最も効果的なのだが、さすがに家の中や庭でクラブを振るのは、広いスペースがない限り危ない。そこで勧めたいのがペットボトルを使った素振りだ。
ペットボトルの大きさは500ミリリットルくらいの大きさで、少し細身のタイプがいいだろう。中身の量はある程度の重さを感じることができればいいので、自分なりに重すぎず、軽すぎない量に調整しよう。そして、ペットボトルを逆さにして、左手の小指と薬指でキャップ部分を握り、中指はその2本をサポートするようにボトル部分を握る。人差し指と親指はあまり強く握らずに、軽く添える程度でいいだろう。
グリップの準備ができたらアドレスの姿勢をとり、左手だけで素振りをしてみる。素振りをするときのポイントは、左脇を締め、体と腕を同調させながら振ることだ。手先や腕だけで振らないように、右手で左上腕部を抑えながら素振りをしてもいいし、左わきにヘッドカバーなどを挟みながら素振りをしてもいいだろう。
素振りを行う際、特に意識してほしいのがダウンスイングの軌道だ。ダウンスイング初期に左手が下りてくる軌道は、今までよりもかなりインサイドから下りてくるはずだ。その軌道の感覚をしっかりとインプットしてほしい。繰り返し左手素振りを行ってダウンスイングの感覚をマスターしたら、右手も添えて素振りを行い、ダウンスイングの軌道を確認してみてみよう。
スイング中に左手を適切に使えるようになれば、右手と左手の力のバランスがよくなり、右手だけで強引にクラブを振ることもなくなる。そうすれば、アウトサイド・イン軌道によるスライスも改善していくだろう。