世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子・吉田洋一郎による、最新ゴルフレッスンコラム117回目。多くのアマチュアゴルファーを指導する吉田洋一郎コーチが、スコアも所作も洗練させるための技術と知識を伝授する。
インパクトの強弱では距離感が合わない
5メートルのパッティングが残った時、あなたはどう考えるだろうか? 1発でカップインさせようと、入念に曲がり幅を読みたくなるかもしれないが、スコアアップのためには左右の曲がり幅よりも、縦の距離感を合わせることを重視してほしい。たとえ1パット目が入らなくても、距離感さえ合っていれば2パット目でカップインできる。しかし、距離感が合わないと、大きくショートしたり、オーバーして難しい距離が残る。狙いに行った結果、大きくオーバーして3パットしてしまうのではもったいない。
このように、距離感を合わせることの重要性を理解していても、ミドルパットからロングパットの距離で「距離感が合わない」「タッチを合わせるにはどうしたらいいのか」と悩んでいるアマチュアは多い。距離感に悩みを抱えるアマチュアのストロークを見てみると、インパクトの強弱でタッチを出そうとしている傾向がある。つまり、ボールを強く打つか、弱く打つかという、手先による加減で距離を合わせようとしているのだ。
このように手先の感覚を頼りにして、インパクトの強弱で距離感を合わせる打ち方は再現性に乏しく、極端なオーバーやショートなど大きなミスにつながりやすい。パッティングストロークに関しても、インパクトの強弱が変わることで、軌道や打点が不安定になりミスの原因となる。
では、どのようにタッチを合わせればいいのかというと、それはパターの振り幅だ。インパクトの強弱は変えずに、振り幅で距離をコントロールすることで再現性が高まる。そのためには普段の練習で、どれくらいの振り幅なら何メートルくらいボールが転がるのかを確認し、イメージしておく必要がある。
利き手の使い過ぎを抑えてストロークする
インパクトの強弱で距離感を出そうとしているゴルファーは、利き手を使いすぎる傾向がある。右利きなら、右手でタッチを出そうとして、強くパチンと打ってしまったり、逆に緩んでしまうことがある。どのクラブを振る場合でも言えることだが、手などの末端部分を主役にしてクラブを動かさないほうがいい。普段使い慣れている手先はさまざまな動きができるため、再現性が求められる動作には向かない。同じ動きを再現しやすい大きな筋肉を主役にしてクラブを動かすことで、スイング動作の再現性が高まる。手などの末端部分は大きな筋肉が作り出した動きに対して、微妙な感覚や調整を加える程度にするといいだろう。
利き手を使わず、大きな筋肉を使ってストロークする練習として、まずは利き手ではないほうの手(右利きなら左手)一本でパッティングストロークを行ってみてほしい。左わきを締め、胸や背中を意識し、上半身の動きでパターを動かすようにストロークを行う。左手と上半身が一体化し、上半身の動きでストロークを主導する感覚が出てきたら、右手を添えてみよう。この時、右手はグリップに触れているだけでほとんど使わなくていい。
胸や背中に支点を置き、上半身の動きに合わせてパターが動かすことができれば、利き手を使わなくてもしっかりボールを転がすことができる。ここでは「利き手を使わなくてもボールを転がすことができる」「インパクトを調整しなくても距離を合わせることができる」と頭と体で理解できることがポイントだ。上半身が主導してパッティングストロークを行うことで、利き手を使ってボールを打つ必要がなくなり、毎回同じストロークを行うことができるようになる。
距離を合わせるために、もう一つ気をつけてほしいのがテンポだ。胴体の動きに合わせてテンポを刻み、どの距離でも常に一定のテンポにしてほしい。胴体部分の動きによって生み出されたストロークとテンポによって、ゆっくり転がるボールが打てるようになれば、振り幅で距離を打ち分けることが可能になるだろう。
利き手を使いすぎないようにしてストロークを一定にすれば、あとは振り幅を変えるだけで距離感の調整ができる。距離感をよくするために、まずは手先に頼らない再現性の高いストロークを行ってほしい。