世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子・吉田洋一郎による、最新ゴルフレッスンコラム19回目。顧客の多くが国内外のエグゼクティブ、有名企業の経営者という吉田コーチが、スコアも所作も洗練させるための技術と知識を伝授する。
素人に教わると危険な理由
社会人になってから初めてクラブを握ったという人は、誰かにすすめられたことがきっかけになったというパターンが多いのではないだろうか。そうすると基本的な動きや最初のクラブ選びなどは、自然とそのすすめてくれた人から手ほどきを受けることになる。その時に注意しなくてはならないのは、その人がレッスンもクラブ選びも素人であるということだ。
自分よりは知識も技術も持ち合わせているかもしれないが、その人の経験則や又聞きの知識であるため、情報が断片的だ。仮に指摘が合っていたとしても、表層的で一時的なアドバイスだったりする。
だから本当はスイング、体の仕組み、道具を理解しているコーチやクラブフィッターに見てもらうのがよい。しかしそうもいかない状況もあるだろう。そんなときには、情報の取捨選択が必要になってくる。
言われたことを鵜呑みにしない
これは初心者だけに限ったことではない。いわゆる“教え魔”と呼ばれる教え好きの人はどこにでもいるし、ゴルフ雑誌やレッスン書をパラパラと読む際にも必要なことだ。
まずはその人たちのアドバイス内容の目的や意味を理解しよう。例えば「スタンスをもっと広くしたほうがいい」と言われたら、何のために広くするのかを考えたり聞いたりしてみよう。スタンスを広くすることは手法であり目的ではないからだ。「スタンスを広くすれば回転しすぎるクセが抑制できて重心も低くなり、より下半身リードがしやすくなる」くらいの答えが導き出せて、下半身リードが自分に必要だと思ったら試すのもよいかもしれない。
「プロがやっているから」とか、「上級者が言っていたから」という理由では、今の自分にマッチしない可能性もあるので試すのを控えたほうがよいだろう。
ビジネスでも競合他社がうまくいったという理由だけで、同じスキームを導入するなんていうことはないはずだ。施策の目的は自社のサービスとマッチしているか、導入するとどうなりそうかの予想を立てて実施を検討することと一緒だと思ってほしい。
チェックをし合える人は貴重な練習パートナー
個人的にはアマチュア同士であれば、教えるのではなくチェックしあえるパートナーという関係が望ましいと思う。前と比べてどうなっているとか、試していることが実際にスイングに落とし込めているかというチェックをしてもらうのだ。ビデオに撮るのもよいが他人のスイングをじっくりと何度も見ることで気づくこともあるし、対機械よりも人とやっているほうがモチベーションのアップにもつながる。
チェックしてもらう時には具体的にどこを見てほしいかを伝えておくとよいだろう。相手はあくまでも素人。スイングを見てくれというざっくりした要望では、返ってくる答えも抽象的なものになりやすい。
そんなチェックしあう関係が築けていれば、こうしたパートナーは今後自分のスキルアップの力強い味方になる。一緒に競技に出ることになるかもしれないし、コーチやクラブ選びの相談相手にもなるかもしれない。そういった仲間はスキルアップの伴走をしてくれるコーチと同じくらい大事な存在なのだ。