長谷川 晋社長は日本のモノ作りを共創で進化させ、JAPAN BRANDを生みだすスタートアップ企業、ムーン エックスの創業者。実践的スタイリングがビジネスパーソンからも厚い支持を得る久保コウヘイ氏が、人間味溢れる現代の経営者像を提案する。
MOON-X 長谷川 晋✕スタイリスト 久保コウヘイ
「リーダーシップにも通じる自分らしさを表す仕事服」
「事前にブランドをお知らせいただいてからホームページを拝見したのですが、イタリアの誇る匠の技を駆使したモノ作りに共感しました。弊社は日本のモノ作りとテクノロジーの融合がコアにあり、おこがましいですが企業として共通するこだわりを感じたのです」(長谷川氏)
待ち合わせ時間ぴったりに表参道の店舗を訪れた長谷川氏は、今回久保氏が選択したブルネロクチネリの印象をこう語った。両社に見られるモノ作りへのこだわりは久保氏も同ブランドを選んだ理由のひとつに挙げたが、店頭で見立てたネイビーのスーツを着せこみながら、別の理由を長谷川氏へ説明する。
「最高の職人技と極上素材が生みだすブルネロ クチネリの服は、究極といっても過言ではないほどの快適な着心地を備えています。常に誰かに見られ、時に人前でのパフォーマンスも要求される経営者にとって、着ていることを意識させないほどの快適な着心地は、自分自身に意識を集中させる手助けとなり、結果パフォーマンスの向上にもつながると思うのです」(久保氏)
服の着心地が悪かったり、着ていてしっくりこないと、気になってしまって集中力の低下にもつながる。人並み以上の集中力が要求される経営者にとって、服の上質な素材や仕立ては、外面的な演出力にも増して、仕事力向上の一助となるのだ。
「確かにこのスーツは、着ているのを忘れるほど着心地がいい。僕は服を選ぶ際、他人からどう見られようと、着ていて自分が心地よく感じられ、いかにしっくりくるかを大事にしています。その方が素の自分を出せ、意志をより伝えられると思うからです。僕のリーダーシップスタイルも同じであり、自分を飾り立てたり取り繕わず、人間らしさのある自然体の自分で周囲と接するよう努めています。今回の服はどれも高級ですが、これみよがしではなく、力まず自然体で着られるように感じました。こんな服があるとは、勉強になりましたね」(長谷川氏)
見栄や慢心は判断を鈍らせ、周囲を遠ざけこそすれ近づけることはない。つまり内面的にも外面的にも自分らしさを引きだしてくれる服こそ、経営者にとっての理想の仕事服なのである。
「以前は威圧的な服を好む経営者もいましたが、今は周囲への礼節や尊重を体現する服のほうが時代に合っている。そんな自分らしいお洒落を楽しんでもらいたいのです」(久保氏)
SHIN HASEGAWA
MOON-X Co-Founder CEO。1977年兵庫県生まれ。幼少期を米国で過ごし、京都大学卒業後にP&Gや楽天などを経、2015年フェイスブック ジャパンの代表取締役就任。退任後、’19年日本のモノ作りを自社ブランドで世界に発信するムーン エックスを創業。クラフトビールを皮切りに、スキンケアやアルコール事業を展開。
KOHEI KUBO
1977年東京都生まれ。アシスタントを経て、2002年よりスタイリストとして独立。メンズ誌やブランドのカタログ及び広告に加え、長谷部 誠や五郎丸 歩、アンドレス・イニエスタら多くのアスリート、タレントも担当。ブルネロ クチネリ公式カタログのスタイリングを7年間担当している。